22.裏表のない ページ22
『ね、ねぇ!棗!?嘘でしょ!?』
私は棗の肩をつかみ、何度も揺らす。
何をしても、何をいっても、棗は俯いたまま、返事をしなかった。
……そしてその瞬間、
「……くふっ、……あはっ、あははははは!!」
棗はこんな状況下で、爆笑し始めた。
だけどその笑いかたが、笑い声が怖くて、私は一歩後ずさる。
ね、ねぇ、嘘でしょ?嘘っていって、またいつもみたいに笑ってよ……
「あぁそうだよ!!わしがやった!ずっとずっと、Aが憎かったから!」
「聞き捨てならないね。でも、君がAちゃんを睨む理由を聞いても、僕は理解しがたいだろう。」
「……そう、誰にも理解されなくたっていい!わしが、わしだけがAを絶望のどん底に突き落とす!それだけを夢見て生きてきたんだよ」
…そ、そんな、……
ど、どうして、なんで、……
私はもうすでに絶望のどん底に突き落とされていて、目を丸くしては、恐怖がゆえに後ずさりを繰り返していた。
「いっつもいっつも、ヘラヘラ笑ってさ、自分のことばっかで、他人のことなんて全然考えてなくて…
…クラスが別れたとき、ラッキーだと思ったよ!これで心置きなくAを苦しめられるってね!」
すると、わざとらしくにこにこ笑う棗。
……まるで、裏側を隠してるときの相川さんのようだ。
『……そ、そんな、……』
確かに私は自分のことしか考えていないのかもしれない。
だけれど、他人のことを全然考えてないわけじゃない
自分のことに気がとられすぎて、他人まで回らないのだ。
「……んふっ、ふふっ、……あはははっ、……」
すると突然、お腹を抱えて笑いだす相川さん。
私と棗は唖然としつつも、そのようすを見続けた。
「……ほんと、つくづく人間の真相心理は素晴らしいと思うよ。くふっ、……」
「はぁ!?何がおかしい!!」
「……Aちゃんは裏表のない人だって、どうしてわからないかなぁ?」
棗はそう叫ぶと、相川さんは低い声で棗を睨む。
……え、私って、裏表ないの?…え?あるでしょ?…()
「そんな人間、この世にいるわけ……」
「いるじゃないか。ここに。」
すると私の腕を引っ張って、相川さんは寄せ付けるようにした。
.
「石崎A、この子は正真正銘、裏表のない人間だ。僕が保証する。」
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2019年9月24日 17時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話もっと読みたい! 終わって欲しくない(´;ω;`)あとそらるさん(彼方先輩)今は夢主ちゃんのこと、どう思ってるんだろう…?とても気になる…!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» できれば気づかないでほしかったぞwwww違うよ、やのんはいじる役だよ((((((((( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - やのさん» ごめんなー(棒)ちょっと嬉しい気持ちがあったんだわ(^^)恥ずかしいんだね〜一生使えるネタが出来たw(嘘です)やのんは、いじられ役だね(( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 毎度のごとく長文のコメントありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!( ;∀;)うん!更新頑張るね!ちょっwwwほめてくれるのはうれしいけど、恥ずかしいからそこには触れないでwwww (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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