19.夕御飯 ページ19
『私野菜切っとくから、相川さんピーラーで皮剥きしてくれる?』
「わかった!」
そうガッツポーズをして意気込んでいる相川さんが、少し可愛く思えた。
そしてまな板の上で私はトントンと音をならして少しずつジャガイモを切っている。
私は相川さんは大丈夫かと横目でみてみると、
「ふんふふーん♪」
鼻声を歌いながら、シャッシャッと手際よく人参の皮剥きをしていた。
………………主婦?……私でも皮剥きするのに結構かかるのに、……
こいつ、……何者だ……
いつのまにか相川さんの作業に見とれていて、皮が剥かれた野菜がこんなにも溜まっていた。
ヤバイヤバイ!!急がないと!
私は焦りだし、少しスピードを早くして食材を切っていく。
「……そんなに焦っちゃうと、指、切れちゃうよ」
すると横からこそっと耳打ちするように囁く相川さん。
顔が真っ赤になり、焦りだした私はすぐに相川さんから距離をとる。
『び、びっくりした、……』
目を丸くしていると、相川さんは自分がやったことを察していないのか、キョトンとしていた。
「……あの、皮剥き終わったから、切るの手伝おうか?」
『……え、あ、うん、』
……え?も、もう終わったの?早くない?やばくない?
やっぱ主婦……いや、主夫だわ。
「……どうしたの?」
『……あ、いや、なんでもない!』
私は止めていた手をすぐに動かし、作業を進めた。
.
.
.
『……わあ!美味しそう……』
食卓に並ぶ、暖かなカレー。
いつもは一人だから、食べきれないと思って、ほとんどレトルトだった。
「……んふふっ、Aちゃんと初の料理……僕、もうこれ食べれないよ……」
『じゃあ食べなくていいです』
「食べます食べます!!食べさせていただきます!」
『よろしい』
相川さんは私と向き合うように慌てて椅子に座る。
そして私たちはお互いに手を合わせて、
「『いただきます』」
と、声を揃えた。
スプーンをとり、カレーを一口掬う。
『……お、美味しい……』
口のなかに広がる暖かな味。私はそんなカレーだけでも、ほっぺが落ちそうなほどだった。
その一方、相川さんはカレーを口に含んだとき、なんだか物足りなさそうな顔をしていた。
私は首を傾げ、それを問いかけた。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2019年9月24日 17時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話もっと読みたい! 終わって欲しくない(´;ω;`)あとそらるさん(彼方先輩)今は夢主ちゃんのこと、どう思ってるんだろう…?とても気になる…!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» できれば気づかないでほしかったぞwwww違うよ、やのんはいじる役だよ((((((((( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - やのさん» ごめんなー(棒)ちょっと嬉しい気持ちがあったんだわ(^^)恥ずかしいんだね〜一生使えるネタが出来たw(嘘です)やのんは、いじられ役だね(( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 毎度のごとく長文のコメントありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!( ;∀;)うん!更新頑張るね!ちょっwwwほめてくれるのはうれしいけど、恥ずかしいからそこには触れないでwwww (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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