元気がない ページ45
-六美
最近の四美は元気がない。
お父さんが出張に行っちゃって、松野さん家で暮らすことになったから慣れなくて元気がないのかと思ってたけど、何かそれとはちょっと違う。
四美をよく観察してると、あることに気がついた。
四美の視線の先にはいつも、紫色の人。
一松さんだったかな…あんまり喋らないタイプみたいだからよく性格が分かんない。
丁度ご飯食べに下に降りる時に隣にいたから話しかけてみた。
「髪ボサボサだね」
「こんなゴミクズがセットしても気持ち悪いでしょ」
うわ。超マイナス思考。
四美は何で一松さんなんか見てるんだろ。
お風呂の時間、松野さん達は銭湯に出掛けて私達は二人づつ入ることになったから四美と一緒になった。
「ふぁー…気持ちいいね六美ちゃん」
「そうだね」
湯船に四美と二人で浸かる。
ポカポカと身体の中から暖まってきて気持ちいい。
「あのさ四美」
「ん?」
「何で最近元気ないの」
「えっ?」と四美が驚いた顔をする。
「…一松さんと、何かあったでしょ」
「え?!ちょ、六美ちゃん、何言って…」
「そんな慌てたらバレバレだよ四美」
「あっ…」と四美が顔を赤くする。お風呂に入ってるから更に赤くて茹で蛸みたい。
「…パーティーの時、一松さんから猫の匂いがしたから、私すぐ一松さんから離れて…呼吸が落ち着いたから、一松さんに説明しようと思ったんだけど見つからなくて」
そう言って四美がだんだん俯きだす。
「共同生活をするってなって、すぐ一松さんに謝ろうとしてるんだけど一松さん大体猫ちゃんと一緒にいるし、私と目が合うとすぐ反らしちゃうし…いざ目の前にすると私緊張して声がでなくて…」
そこまで言うと四美が泣きそうな顔になる。
「どうしたらいいのかな…」
「…四美は、一松さんとどうなりたいの」
「え?」
「謝って、仲良くなりたいんでしょ?」
「うん…」
「じゃあ、そのままそう言ったらいいんだよ。難しくないでしょ?」
「え、でも、私避けられて…」
「大丈夫。一松さん、いつも四美のこと見てるもん」
「え?」
四美がきょとんとした表情で首を傾げる。
「大丈夫だって。緊張するなら、四美の得意な事で伝えたら良いと思うよ」
「得意なこと…」
もう大丈夫そうだね。
そう思って私は「先に出てるね」と四美に伝えてお風呂場を後にした。
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ミミ - Mさん» お下げ髪…耳から下の2つ結びですね。分かりました、わざわざご説明ありがとうございます! (2017年1月28日 19時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミミさん» 私の頭の中ではお下げ髪でした。ミミさんのコメントで改めて調べてみると、呼び名が違うだけで同じものだと思っていたのが違うものなんだと初めて知りました。私の知識不足です…疑問を抱かせてしまってすみません。後日改めて直します。 (2017年1月27日 21時) (レス) id: ac422af371 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - すみません、四女さんの髪型なのですが、2つ結びというと一般的にはお下げ髪だと思いますが、本文中ではツインテールとも書かれていました。細かいとは思いますが、どちらの髪型なんでしょうか? (2017年1月24日 18時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ノンノンさん» コメントありがとうございます!がんばります! (2016年12月1日 11時) (レス) id: 060cf696e2 (このIDを非表示/違反報告)
ノンノン - 書くの頑張ってください! (2016年11月27日 10時) (レス) id: d309a533cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2016年7月31日 9時