四男×四女 ページ12
-一松
母さんに頼まれて嫌々ながらも兄弟みんなについてきた感じでエスコートを引き受けた。
だけど
相手の子がこんなに可愛いなんて
正直まともに顔を合わせられないし何を喋っていいのかも分からない
そもそも女の子と二人で話しをした記憶がない
黒髪のツインテールがゆらゆらと揺れて猫じゃらしを目で追い掛ける猫のように俺はそれを見つめていた
レンタル彼女の時からか
女の子の二つ結びに俺は弱いと気づいた
「…」
「…っあの…」
彼女のおさげを見つめていたら急に彼女が俺の方を向いた
「あ…ごめん…俺は一松」
「わっ私は四美です…い、一松さん、でいいですか?」
「なんでもいい」
俺は目付きが悪いしぼそぼそ喋るから昔から見た目で怖がられていた
こいつも多分そうなんだろう
怯えたように、おどおどしながら話す四美
…エスコートなんだから、俺が喋んなきゃ駄目だよね
「…ねぇ」
「…!!」
急に声をかけたもんだから四美が驚いて飛び上がった
「…そんなに驚かなくても」
「ごっごめんなさい…」
「てか、怯えすぎじゃない?」
もっと普通にしなよ、と言おうとした瞬間
「…っ」
四美が目に涙を溢れさせしまいには泣き出した
「え、ちょっと、泣かないでよ」
「すっ…すみません…」
俺が泣かしたみたいじゃん
すみません、ごめんなさい、と謝罪の言葉を繰り返す割に四美の涙は止まる様子がない
しょうがないと思いほら、と猫の刺繍が入ったハンカチを渡す
「涙、拭けよ」
「ありがとうございます…」
ハンカチを受け取った四美が涙を拭き取る
その姿を見てようやくホッとしたのも束の間
「……この匂い…」
四美がハンカチをじっと見つめている
「…一松さん、もしかして…猫飼ってますか?」
「…?飼ってはないけど…」
よく戯れてる、と言うとまだ涙を拭き終えていないのに四美がハンカチを俺に返す
「え…いいよ、持ってて」
「いえ…そうじゃなくて…
…私、猫嫌いなんです」
そう言うと四美はハンドバッグから眼鏡とマスクを取りだして装備したかと思えば俺から離れた場所へと去っていった
俺は訳が分からず呆然と立ち尽くす
なに…なんなのあれ
勝手に俺を怖がっては泣き出し
精一杯の俺の優しさを押し返し
しかもその理由が
“猫が嫌い” とか
ふざけてるとしか思えない
「…なんなの、あいつ…」
その後も俺は四美と一緒に居ることはなく
パーティーの人混みを見つめながら一人で過ごした
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ミミ - Mさん» お下げ髪…耳から下の2つ結びですね。分かりました、わざわざご説明ありがとうございます! (2017年1月28日 19時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミミさん» 私の頭の中ではお下げ髪でした。ミミさんのコメントで改めて調べてみると、呼び名が違うだけで同じものだと思っていたのが違うものなんだと初めて知りました。私の知識不足です…疑問を抱かせてしまってすみません。後日改めて直します。 (2017年1月27日 21時) (レス) id: ac422af371 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - すみません、四女さんの髪型なのですが、2つ結びというと一般的にはお下げ髪だと思いますが、本文中ではツインテールとも書かれていました。細かいとは思いますが、どちらの髪型なんでしょうか? (2017年1月24日 18時) (レス) id: 794681af9d (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ノンノンさん» コメントありがとうございます!がんばります! (2016年12月1日 11時) (レス) id: 060cf696e2 (このIDを非表示/違反報告)
ノンノン - 書くの頑張ってください! (2016年11月27日 10時) (レス) id: d309a533cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2016年7月31日 9時