山姥切長義に惚れてしまった【刀剣乱舞】 (ページ17)

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第十六話【相応の選抜】ページ17

「＿＿霊力がこの手紙にかかっている。しかも、君と類似している物だよ」

布男は私に手を翳してみろと言って手紙を返してきた。霊力が同じ？ということは…三日月が本当に私にだけに向けて置いていった？
私は言われた通りに白紙の手紙にゆっくりと上から下へ手を翳してみた。なんということだろう、文字が浮き上がってきたのだ
内容は＿＿＿

『助けてくれ』

という、たったその五文字だけで、他に何も書いていなかった
ドクンッ
と心臓が波打つと共に、背筋に悪寒が走る
なんだ、これは。と
これは手紙なのか？と何もかもを疑うように
この字は確かに三日月の字だ。だが、だがしかし、私は知らない。こんな三日月は知らないんだ。あんなに強かった三日月が、助けを求めたことなんてなかった最強のじじいが、どうして、どうしてそんな彼が私に助けを求めているんだ？
おかしい。おかしいおかしい！！

「………」

ぐしゃりと歪んだ手紙を、震えた手で持ち続けるのがなんとも辛く悔しかった
三日月が、みんなが押収された時の情景が遡る
「必ず戻ってくる」「心配するな」なんて言いながら、そうなった原因のクズな私に優しく微笑みかけてくれたみんなが、ガラスのようにヒビが入っていく。パキパキと崩れ落ちていくそれから、黒い濃霧が出てくるのだ
黒い、ドス黒い濃霧は私の全身を駆け巡る
あぁ、そうか、これが「怒り」だ
私は手紙を丁寧に伸ばしてから懐にしまった。なんとも怖い話だ。一周回って冷静になってきている。ただ一点を見つめ、ただ政府に制裁を下すという目的のために身体が機能しているかのような気分だ

「行こう」

私は布男の顔なんて見ずに、とてもよく赤が映える真っ白な正装を羽織った

本丸中心部の庭園に全刀剣男士が既に集っていた
今か今かと私を待っていたのだろうか、私が来た瞬間に雰囲気が、その場の空気が鋭くなった
ピリピリしているのがよく分かる

「＿＿では、主より政府へ乗り込む面々を発表する」

長谷部がよく通る声で高々とそう言った。いつもは周りが騒がしいから喉を潰していたというのに、なんだこのギャップは。普段からそうしろ
しかも待ってくれよ。私てっきり全振りで行くのかと思ってたよ？なんださっきの。かっこよかったのになんでこう意思疎通できないかな？
とりあえずなんか見栄はっておこう

「部隊長打刀山姥切長義」

よし、まだ一言しか喋ってないがここまではいい
次だ。誰にする。誰がいい
誰が相応しい