普通の私が“魔法少女”になる話 (ページ5)

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君は

本当の記憶を､覚えてる?

── 分からない

── 覚えていないんだ

── ある日を境に記憶が抜け落ちて

── 思い出そうとしても

── 酷い頭痛に襲われて

── 君は私を知っているのか

ええ､知っているわ

何故､思い出せないのかはね
貴方が無意識の内に拒絶しているからよ

── 拒絶?

そう､貴方は思い出す事を拒絶している

だから､酷く頭痛がするのはその所為

現に､私の事が分からないでしょう?

── 容姿は思い出せないけど

── 君の声､聞き覚えがあるんだ

── ずっと聞いていた様な

── 暖かくて､安心する､そんな声が

暖かくて安心する声､ね

── 声だけは分かるのに

── 如何して君を思い出せないんだろう

私に聞かれても分からないわ

貴方の記憶は貴方しか知らないの
勿論､私の記憶も私しか知らない

── 声だけじゃ記憶は戻らない

── 凄く､今更だけど

── 君の名前を知りたいんだ

本当に今更感が有るわ

こうして話してたのに
名乗らなかった私も私ね

私は**よ

── **

貴方の名前は知っているから
言わなくてもいいわ､A

── 嗚呼､私の事知ってるんだったね

ええ､そうよ

── 昔から､知ってるんだよね

貴方の知らない記憶に
私がいる事は確かね

── 思い出せたらいいのに

少しずつ思い出せばいいのよ

無理に一気に思い出せば
頭痛がして身がもたなくなる

でも､もしも

私達のことを思い出せたら
あの場所で待っているわ

私達が初めてであった

あの場所で

── 絶対に思い出す

── そして､君達に逢いに行くよ

待ってる､から

この約束､忘れないでよ

── 君の知る私は約束破った事ある?

約束破った事なんて無いわ
ずっと約束を守ってくれたもの

── それなら､守らなきゃな

── 目の前がボヤけてきた

其れは貴方が目覚める合図ね

── もう､目覚めるのか

寂しいのかしら?

── まぁな

素直に言う人は嫌いじゃないわ

── また逢える?

貴方が眠りにつけば
この世界に辿り着いて会えるわよ

── また､お話聞かせてね

ふふ､次はもっと話してあげるわ

貴方が知らない､たくさんの話をね

── またね

ええ､またね､A