【過去編】苧環【ぬらりひょん】 (ページ4)

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腹が立つ人ページ4

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あれから数年が経ち、珱は16に、私は17になった

「A！駄目だと言えば駄目だ！！
何度言わせるつもりだ！！」

「父上こそ何度言えばわかる。
私は貴方の言いなりになるつもりなど微塵もない」

「町へ行くなど許せるわけがあるか！
珱もAもわしの大事な大事な娘！
行かせられるわけなどあるか！」

私は父に無断で外に行こうとしていたところを見つかり、現在言い争い中である

「町に行くだけで何をそうムキになる。今は昼間だ。
妖怪などおらぬわ」

「そうとも限らぬ！
愛しいお前に何かあっては母になんといえば良いか！」

娘を金の道具にしておりましたと正直に言ってやればいいだろうが
お前の愛しているものは我らではなく我らの持つ"力"だろうて

「時間の無駄だ」

「これ、A！待たぬか！！！」

父を無視して外へ出た
当然家の者…去年あたりから家に居座る陰陽師が後を追ってくるもそれらを全てまいて(前世同様戦えるよう鍛えているから容易い事だ)京の町へと出ればそこは人で賑わっている

「……珱も連れてこられればいいのだけど」

だが流石に珱もとなると易々とは追手をまけないだろう
真面目にまこうとすればまけるが、流石に姉が自分を抱えられるほどの力を持つとは思わないだろう珱には相当な衝撃を与えてしまう気がする

「…土産を買ってやるか」

金銭は多めに持ってきているし、問題は無いだろう

Aはそう思いながら京の町を練り歩いた
一応持っている小袖の中で一番地味目のものを選んだが地味とはいえ、あくまでもそれは姫としての地位での地味
傍から見れば豪華なものに見えるだろう

「ふむ、甘味でも食べるか」

近くにあった団子屋に入り、茶とみたらし団子を頼む

「あらぁ…こりゃ凄い別嬪さんや」

「………………」

ふと長椅子に座る私の目の前のところから声がかかった気がして顔を上げると烏帽子をかぶり陰陽師のような格好をした狐っぽい男がお茶片手にぽかんと私を見ていた
私はその男を見てゆっくりと視線を逸らす

「……君、姫さんやろ？どこの姫さん？」

「貴様に答える義理はない」

「めっちゃ気ぃ強いんやね。
ボクの勘としては…治癒姫姉妹の…姉姫様やない？君」

治癒姫、それは私と珱を総称して言われる名だ
わかってるなら何故わざわざ聞く、と黙って眉間にシワを寄せる

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