時間は動き出す ページ18
.
お父さんに稽古をつけてもらうようになってそれなりの月日がたった
ほぼ毎日短時間でも稽古をつけてもらってるからか、感覚を取り戻すのは予想以上に早かった(勿論違和感ない程度の実力を出して)
強いて物足りないところを言うならば筋力が足りないことだけか
それに関しては成長しながら要相談
そう思っていると不意にリクオが後ろから抱きついてきて散歩に行かないか、と誘ってきた
いきなり何事かと思ったがどうやらお父さんがリクオを誘ったようで、そのままリクオが私を誘いに来たらしい
「うん、行こっかお散歩」
「やったー!」
「Aはそのままの格好でいいのかい?」
「着替えるの面倒だからいいや」
そう言いつつも最近デフォルト化してきた木刀を腰に携えて玄関へと向かう
「木刀持ってくのかい?」
「これないと腰が寂しくて」
「侍かっ」
カラカラと笑ったお父さんはリクオと手を繋いで一足先に行ってしまう
侍か、じゃなくて侍だよ、お父さん
姿が変わったとしても、私の魂は昔と何一つ変わっちゃいないのだから
▽▲▽▲▽
「二人とも早く早くー!」
「リクオは元気だなぁ」
「そんな走ると転ぶぜリクオ〜。
Aはなぁにババくさい事言ってんだい小学生」
「老いを感じてきて……」
「Aの歳で老いを感じちゃあ俺や親父はなんだってんだ」
いつもと変わらないたわいない会話
リクオの笑い声
何も変わらない、日常
けれど、それはたった一つのイレギュラーでいとも簡単に崩れさる
駆けるリクオの後ろに見えた、一人の女の子
その子を見た途端、お父さんの様子が変わった
「リクオ…その娘は…」
「お父さん!遊んでくれてたの、このお姉ちゃんが!」
父は、戸惑ったようにその女の子を見詰める
飄々としているはずのいつもの父がこうもわかり易く戸惑っているところを見るのは、初めてかもしれない
しかし父はその動揺をどこかに押しやりなぜか私たちの父を『父』と呼ぶその女の子の手を取りリクオがの元へといった
あぁ、なんだろうかこの感覚
ザワつく胸
ピリリと私だけが張り詰めていく緊張
それから私たちはリクオにつられるようにその女の子とも一緒に遊んだ
境内を歩き回り、追いかけっこをしたり
ごくごく普通の遊び
それを私は、違和感あるその子と共に遊んだ
.
380人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「家族」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒカル・ブラックウェル(プロフ) - 面白いです!もう家で声出して笑ってますw更新頑張ってください! (2020年1月21日 8時) (レス) id: a0f4c9fe9c (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - さーちゃんさん» さーちゃん様、コメントありがとうございます!お気に召されたようで嬉しいです!どうぞこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年8月10日 19時) (レス) id: 6fc283c30a (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - 面白い!ぬら孫大好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2019年8月10日 13時) (レス) id: 577dc20b2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:江 | 作成日時:2019年8月8日 21時