25.祠じゃなくて、塚が完成 ページ26
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翌日
小狐丸さんと一緒に、先日ばつ印を書いた場所に行く。
こん「ここは変わらず澱んでいますね。」
やはりそこは澱んでいた。
水が高いところから低いところに移動するように、風が高いところから低いところに向かって吹くように、よくない気も移動するものである。
貴「うぅん…これは早くなんとかしないと……」
小狐「また以前と同じようになってしまいますね。」
貴「…応急措置として、祠ではなく塚を作ることはできますが…それも壊されてしまったら、その度に作り直さないといけなくなりますし…」
小狐「それでしたら、目につかない隅の方に作るのはどうですか?そこに結界でも張ってしまえば容易には壊されますまい。」
そうか、その手があったのか。
貴「それでは札を作らないといけませんね…。小狐丸さん、すみませんが刀を貸していただけますか?」
懐から紙を三枚取り出し、小狐丸さんから刀を借りる。
鯉口を切って刀身を少し出し、刃先に人差し指を滑らせると、すぐに赤い血が溢れてきて地面に滴った。
慌てる小狐丸さんに刀を返して、紙に指を滑らせると、呪文字を書いた。
術者の血を使った札はかなり強い効力を発揮するから、筆がない今はこれが一番強力だと判断した結果だ。
手頃な石を積み上げて簡易的な塚を作ると、石の間に札を全て挟む。
貴「これでよし、見えないし気づかれない、風穴の役割を果たせるように保護もした。夏越しの祓であらかたの穢れや澱みは一掃した。あと私がやるべきことは、刀剣たちの心のケアだけ…!」
『ちゃんと全ての刀剣を救い出してみせる。』なんて決意を新たに、明日からどう動くかをぼんやりと考える僕であった。
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佑菜(プロフ) - 五月七日さん» 応援ありがとうございます。話の続きを待たせてしまって申し訳ないです。 (2018年10月24日 12時) (レス) id: 4551e98c94 (このIDを非表示/違反報告)
五月七日(プロフ) - 凄く面白いです!応援してます!更新待ってます! (2018年10月5日 20時) (レス) id: dbeede1e64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佑菜 | 作成日時:2017年4月23日 18時