291 光くんの好物 ページ30
『えーっと、卵と牛乳は………あったあった!』
食堂のキッチンを借りて、私は冷蔵庫からそれらを取り出した。
『よし、準備万端!』
ボウルと泡立て機を用意して、早速作り始める。
ボウルの中に卵を割って混ぜていると、誰かが入ってくるのがわかった。
リ「あれ?Aさんじゃないですか」
『あ、ハオくん!って、お面は?』
入ってきたのは、李子文くんならぬ、リ・ハオくんだった。
いつものお面をつけていないことに気づき、私は不思議に思って問いかける。
リ「今は外してるだけですよ。さすがに一日中被ってたら疲れますからね」
ぽてぽてと歩いてくると、ハオくんはこちらの手元を覗きこむ。
リ「なにを作ってるんですか?」
『ふふ、ないしょ』
リ「え〜、教えてくださいよ〜!」
私の言葉に、ハオくんは頬を膨らませてムスッ、とする。
『もう、しょうがないなぁ……』
私は混ぜ終えた卵に牛乳を加え、再び混ぜ合わせながら答える。
『ホットケーキだよ』
ハオ「ホットケーキ、ですか?」
『うん。糖分をとるのにちょうどいいし、あんまり手間もかからないからね』
それらを混ぜ、ホットケーキミックスを用意する。
ハオ「でも、なんでいきなりホットケーキなんて作ろうと思ったんですか?」
『えっとね……さ、差し入れのため、かな』
とっさに言葉が見つからず、途切れとぎれに話す。
ハオ「差し入れ?誰にですか?」
『そ、それは……』
私がまごついていると、ハオくんは少し考えて「ああ」となにかを思い出した表情をする。
ハオ「一星くん、ですね?」
『えーっと、それは……』
目を泳がせている私を見て、ハオくんは言った。
ハオ「なら、きっと喜びますね」
『え?』
思わずきょとんとしていると、ハオくんは、あれ?とでもいうような表情を見せる。
ハオ「ホットケーキといえば、一星くんの好物ですよ」
『そうだったんだ……』
ハオ「知らなかったんですか?」
『うん。全然』
そんな私を見て、ハオくんは笑った。
ハオ「なら、また一星くんのことを一つ、知ることができましたね」
『うん。ありがとう、ハオくん』
ハオ「いえいえ!」
ホットケーキミックスをボウルに入れ、卵と牛乳と一緒に混ぜ合わせる。
『卵って、まだある?』
ハオ「あ、はい。あと一パックあると思いますよ。数がもう少ないですね」
親分に言わなきゃ、とハオくんは残りの卵を見て呟いた。
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姫川ふぶき - 円堂死なないで(泣)青鬼ゲームをだんだん見たら円堂が青鬼に手で死んだので悲しかったです!円堂が死んだなんて嘘だよね?何で円堂を死なないといけないのねぇ教えてお願い!ずっと夜まで朝で泣いていましたけど、泣いたら駄目だと思っていました!けど結局泣きました (2020年4月25日 0時) (レス) id: 3c4b53ac36 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 青鬼ゲームや君は私の一等星が更新されないのは悲しいけど、体調の方が大事ですからね!!早く治してください!お大事に! (2019年10月29日 21時) (レス) id: 08c5f26fea (このIDを非表示/違反報告)
りん - 風邪しっかり治してくださいね! (2019年10月29日 18時) (レス) id: 8b75577298 (このIDを非表示/違反報告)
Yニャン - みなさん» ですよね……!( ≧∀≦)ノ (2019年10月16日 21時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - あぁ・・・光くんかわいい← (2019年10月16日 19時) (レス) id: 08c5f26fea (このIDを非表示/違反報告)
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