君は私の一等星 No8

283　ロシアの夜 ページ22

光「Aさん。大丈夫ですか？」

『え？なにが？』

宿舎に戻っての夕食の時間、光くんに問いかけられて我に返る。

光「いえ、ちょっとボーッとしてるっていうか……あんまり食事が進んでいないように見えたので」

『うん……ちょっとね。だけど、平気だよ』

光「なら、いいんですけど……」

私は光くんに笑いかけて、食事を進める。

だけど、やっぱり食事は喉を通らなかった。

明日人「A、食べないの？」

今度は明日人に言われ、私は視線を向ける。

『なんか、食欲ないんだ。なんでだろうね……』

自分で言っているが、原因はとうのとっくにわかっている。

オリオン財団のことだ。

『私、もういいや。ごちそうさまでした』

野坂「もういいのかい？」

全く手をつけていない食事を見て、野坂くんが心配そうに声をかけてくる。

『うん。じゃあ私、部屋に戻ってるね』

私はそう言って、食器を持ってみんなから離れる。

つくしちゃんと杏奈ちゃんにも言って、私は自室に向かった。

自室に行き、私は部屋についた瞬間、ベッドに向かってダイブする。

『………』

頭に浮かぶのは、先ほど新条さんに言われた言葉だ。


___君がオリオンに入らなければ、きっと理事長はイナズマジャパンに手を出すだろう___


『(どうすればいいの……)』

私はどうすればいいかわからず、ベッドの上で身を縮めた。

ｺﾝｺﾝ

ベッドに転がっていると、誰かが私の部屋のドアをノックした。

『(こんな時間に誰だろ……？)』

私は疑問に思いながらも、ドアを開けた。

光「あ、Aさん。よかった」

『光くん？どうしたの？』

ドアを開けると、少し不安そうな表情の光くんが立っていた。

光「こんな時間に申し訳ないんですけど、外に行きませんか？」

少し話がしたいんです、と真剣な表情で言う光くんに私は頷いた。

『わかった。準備するから、ちょっと待っててね』

光「了解です」

ロシアの夜は寒いため、私はコートを羽織っていくことにした。

『お待たせ、行こっか』

光「はい！」

嬉しそうに頷いた光くんを見て、私は少し笑う。

外に出ると、やはり予想通りに冷え込んでいた。

『さむ……』

思わず声に出してしまうほどの寒さに、私は自分の体を抱きしめた。

光「Aさん、大丈夫ですか？」

そんな私の姿を見て、光くんは心配そうに声をかけてくる。

『うん、大丈夫だよ』

私はそう言って、心配させまいと光くんに笑いかけた。

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