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はは、とウラタはなぜか乾いた笑いを漏らす。
なんだ?
何かおかしなことを言っただろうか?
いや、言っていないはず。
そのままゆっくりと降下し、少し離れたところからルシフを抱えてウラタと一緒に街の中に入ると、活気がある声が飛び交い、新鮮な果物と野菜を売る売店や、屋台など色々な出店がある。
色々食べてみたいが、今日はこの街に泊まるか。
魔族領と人族領と獣人族領とエルフ領との中間地点ということもあり、様々な種族者たちがいる。
さらに、別種族とのハーフやクォーターはここが一番快適に住めるところである。
そして、ギルドや顔の広い商会の本拠地でもある。
逆に他の種族を毛嫌いしている商会はここには絶対に店を構えない。
「あれ、宿じゃねぇ?」
「お、でかしたウラタ!」
宿の看板を見つけ、急いでそこに駆け込む。
宿の中に入ると、受付には人間の女性がいた。
この時間だとまだ夕食の準備をしている最中だから客はいないらしい。
これは好都合だ。
ちなみにウラタは今にも潰れそうだ。
ルシフはウラタより多少身長が高いからな。
当たり前といえば当たり前か。
宿泊の手続きをし、宿のベッドにルシフを寝かすと、ウラタが買い出しに行ってくるといって部屋を出ていった。
その間にオレは風呂に入り、それから食堂に行くことにした。
食堂では美味そうな匂いが充満していて、既に何人か席についている。
カウンターにいる女将らしき人に注文をして、料理が出てくるまで待っている間、周りを見渡すと、やはり冒険者の格好をした者や、商人風の者など、十人十色だ。
「おう、にーちゃん。ここは初めてか?」
「そうだな。ここで食べといたほうがいいものとかはあるか? 今日来たばかりだが、明日にはもう発ってしまうんだ」
「ならここの『怪魚の煮付け』とか今日だけ特別だが『ワイバーンの串揚げ』なんかはうまいぜ!」
そう言って教えてくれた。
他にもいくつか聞いたところでちょうど料理が来たため、食べることにする。
まずは怪魚からだな。
見た目は白身で脂が乗った鯛みたいな感じだ。
口に入れると、白身の淡白な味に醤油が程よく染みていてかなり美味しい。
醤油にもしっかり魚の出汁が出ていて、けれど魚も味気なくはない。
怪魚でこれなら、串揚げの方も期待大だが、ルシフやウラタも気になるし、そろそろ帰りたい。
「確かにかなり旨いな。この串揚げって持ち帰れるか?」
「お安い御用さ!」
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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