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ルシフSide
「なぁっ! そういえばルシフの家って、行ったらあかん、のっ!?」
悪魔召喚事件はたまたま召喚陣があり、たまたま召喚されてしまったとして片が付いた。
その後、定期的な手合わせを頼まれてから数ヶ月。
もうすっかり習慣になってしまった、昼食後の手合わせで、サカタ様がおれと剣の打ち合い中にそんなことを訊いてくる。
「そんなことに集中を割いていていいんです、かっ!?」
「せやけど、っ気になるやん!」
カコン、カコンと中庭に木刀同士が撃ち合う音が響く。
何をそんなに気にすることがあるのだろう。
集中が分散してしまったサカタ様を負かすのは用意で、相手の剣を弾いて自分の剣を軽く当てる。
「勝負あり〜」
「何やサカタ、疲れとるん?」
「今のサカタ、センラよりも弱いで」
「え〜、なんか気になってもうて」
ウラタ様のゆるい審判が勝敗を告げる。
礼儀を尽くす意を示すために軽く頭を下げ、服を引き上げて軽く汗を拭う。
坂田様も勢いよく頭を下げ、頭を振る。周囲に汗が飛ぶ。
周りに人がいなければかかっていただろう。
集中力の切れたサカタ様を心配するシマ様と、煽るように口を開くセンラ様。
それにしても、犬並みに集中力の高いサカタ様が切らすなど、珍しいの一言しか出てこない。
それに、どうしておれの家に行きたいのだろう。
別に、そこまで見られていないだろうに。
「来てもいいですけど、無理に仲良くしなくても───」
「行きたいから行くんよ! 無理ちゃうもん」
「あー、そういえば、ルシフには王家との友好関係を示すためとか言ってたっけ」
歓談中、口を挟むのは良くないかと思いつつ、それでも模擬戦中にはぐらかしてしまった質問を忘れてしまいそうで、簡潔に答える。
忘れるというより、答えるタイミングが無くなりそうだと思っただけだけれど。
おれの一歩引いた答えにサカタ様は二歩くらい近づくような答え方をする。
そんなおれたちのやり取りを聞いて、何かを思い出したように、ぽや〜っと声を上げる。
「だったら、さかた、ルシフのところの感謝祭があるときに連れて行ってもらえば?」
「感謝祭なら今月ありますけど」
「うそ! いつ!?」
興奮したように前のめりになって訊いてくる。
声を出してはいないものの、残りのお三方も興味津々に見てくる。
そんなに感謝祭を見たいのか。
まぁ、おれの領地でしっかりやっているのか気になるのだろう。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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