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69. ページ21

今回は俺に案件を譲って貰えたので、怠惰のベルフェゴール、ごく久々に動きます。
前回はいつだったっけ、もうずっと奈落から出ていないかも。

内容は息子殺し。
いかにも悪魔に頼りそうな内容だけれど、面白いのは依頼人、なんと死体が用意できないと。
悪魔にとって召喚に応じる最低限の条件は食料、まあいわゆる報酬としての死体と勝手口としての魔法陣。
その食料がないんじゃ、こちらはただ働きもいいところだ。

ふだんならその時点で下級の悪魔たちに弾かれる案件ではあるけれど、だって依頼人が自分の死体を使えというのだから彼らも困ってしまってここにやってきたってわけ。
面白いでしょう?


喚び出されてやってきてみたらみすぼらしい牢屋だった。
眼前でこと切れた依頼人を見て、ふふ、もう依頼を実行する必要はないんだよねと嘲る。
依頼は達成または依頼人の死を以て終了となるのだけど、まあ実行するかどうかは自由なのである。
そう、悪魔の自由。
奈落に帰ってもよし、依頼を達成してもよし。
帰らずにふらふらしていてもいい。


この人間は本当に愚かしい。悪魔を地上に喚ぶことの恐ろしさを知らなかったんだろうなあと思いながら、愚かなものは食べてしまった。
お腹が空いていたからね。


困ってしまったのはここが地下牢だってこと。
人間たちが齷齪(あくせく)働いて作った建物を壊すのはちょっぴり気が引けるけど、せっかく来たのだから派手に登場したい気持ちはないでもない。

どうせどこかしらは壊さなきゃ出られないんじゃない?
そうしたら躊躇いもなくなって、じゃあうんと派手に登場してやろう、なんて。


そして、魔法を天井に向けて、放つ。
爆発音とともに瓦礫が落ちてくる。
上を壊すのは間違いだったかな。
上から悲鳴がして、人も落ちてきてしまった。
ただ、今興味があるのはそいつじゃない。
任務を遂行するつもりはさらさらないが、依頼人の憎き相手は見てみたい。


落ちてきた瓦礫を足場にして、開けた穴の外に出る。
幸い、依頼人の指定した相手は何となく分かるので、空に飛び上がりってそいつのいる方向に顔を向ける。
と、ターゲットの他に人の子が四人、それからサボりぐせのある現魔王と名高い黒竜が一体、こちらに走ってきていた。


ふむ、派手に登場してやったのは好都合だったみたいだ。
彼らの目標もおそらくこちらだろう。
だってそれ以外に急ぐ理由はないだろうから。


 僕は優しいので、直接出向いてあげよう。

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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんしゅ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年5月15日 1時

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