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突然聞こえた大きな咆哮に吃驚して思わず辰哉が上を見上げると、空に渦巻く暗雲に、思わずへ、と間抜けな声が漏れる。すると、視界の端からぶわりと相対する2色が舞い上がった。
優雅に、それでいて熱情的に舞う紅色の花弁と、ひらりひらりと美しく、儚く舞う薄水の花弁。視界を埋め尽くすほどに舞い上がった其れは息を飲むほど美しかった。
やがて花の幕から現れたのは、先程とは異なる姿の二人。
白蓮と茜色の着流しは、羽織袴へと変わり、履いていた草履も高下駄に。極めつけは、耳にその名の通り狐色の耳と、羽織の間から覗くふわふわの尻尾。紅蓮の瞳は前にも増して燃えるように輝いていた。
一方の空色は、ゆったりとした物へと変化していた。形こそ着流しと変わらないものの、透き通るような空色は裾の方を残して、夕暮れ時の深い瑠璃色に。
見た目は余り変わらないのか、と見ていた辰哉は、その瑠璃色の背中にまるで生きているかのように龍が登るのを見て、思わず目を見開いた。
｢さてと、とっとと済ませようか…康二の事も気掛かりだし、翔太も早く帰りたいんでしょ？｣
｢まぁ別に急ぎの用事じゃねェけど。後ろで戸惑ってる『ご主人サマ』にも色々説明しなきゃいけねーんだろ？｣
｢そういう事。さっさと終わらせるよ。…『狐火桜花』。｣
｢了解…『竜水灯籠』っ！｣
腰から黒と紅の鞘の日本刀を抜くと、紅蓮はチャキリ、と刃の向きを変える。その鈍い銀色の刃に燃え盛る焔を見た気がして目を細めると、高下駄が軽快に地面を蹴った。
其れを横目に、地面に手をひたり、と着けた薄藍が叫ぶと、その場所から膨大な量の水が流れ出す。勢いよく流れ出したその水に足を取られたのか、物の怪の巨体がぐらり、と揺れる。
其れを待っていたかのように、宙にひらりと茜色が舞う。あ、と辰哉の半開きだった口が形作ると、其の見開いた菫色の瞳に、薄紅に色付いた桜の花弁がふわりと過ぎった。
焔色の閃光が青緑色を真っ二つに真上から切り裂く。声とも、断末魔とも取れない声が袋小路に響く。其の身体から何やらおどろおどろしい色の液体が流れ出て、水とともに虚空に消えた。
すたり、と難なく着地した紅蓮色は一度、液体を払う様に刀を振ると鞘に収める。薄藍も地面から手を離し、ぱたぱたと手を払うと後ろに手を回して背中の竜を二、三度軽く叩いた。
まるで朧な夢の様に竜も狐も姿を消し、菫色は目を瞬かせる。其れを意味ありげに流し目で見て、薄藍は小さく溜息をついた。
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莉月(プロフ) - 優さん» こちらこそリクエストありがとうございました！楽しんでいただけていたら幸いです。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月27日 7時) (
レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - お話書いて頂きありがとうございました！これからもお話楽しみにしています！ (2021年1月26日 21時) (レス) id: a7e52b77bc (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - リクエストはここで締め切らせていただきます！リクエストしていただいた皆様、ありがとうございました！お話になるまで、少々お待ちください。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
莉月(プロフ) - さのちゃんさん» 最後の一枠なので大丈夫ですよー！リクエストありがとうございます。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: d1f373beb4 (このIDを非表示/違反報告)
さのちゃん(プロフ) - まだリクエスト大丈夫でしょうか？橙くんが怪我して敵に捕まって黒くんがすごく怒るお話を読みたいです。よろしくお願いします！ (2021年1月5日 21時) (レス) id: f84afddcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉月 | 作成日時：2020年5月30日 12時
