ペットじゃなくて（ひまわりイエロー） (ページ33)

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Aside

髙「あ、ども、こんばんは。Aちゃんがお世話になってます」

「あんたどの立場でっ……あ、例の親戚の子ですっ、」

先輩「こんばんは、Aさんとは同じ職場でお世話になってます。」

すると突然、モモが私の腕を掴んですごい力で引き寄せた。

「わっ、」

気がつけばモモと同じ傘の下にいて、モモに腰に手を回されて、さらにギュッと引き寄せられていた。

見た目の柔らかさからは想像できない力強さに思わずどもる。

先輩「えっと、親戚のモモ、くん？」

「あっ、あ、えっと、大桃っていう苗字、なんです。ニックネームですモモは。」

先輩「そうなんだ、大桃くん、体調は大丈夫？昨日熱が出たって聞いたんだ。」

「…あ！あっ！！ちょっとモモ～、寝てなきゃダメじゃないっ」

髙「…だってぇ～、今日はAちゃんの料理食べたいから待ってたんだけど、お腹すいて待ちきれなくてコンビニ行って…

でもやっぱAちゃんのご飯がいいからお菓子だけ買ってきた！」

「あぁそう…」

モモは私の腰に手を回したまま、至近距離で目を細めてにっこりそう言う。

かと思ったら、

一緒にいてまだ1ヶ月も経ってないけど

今までに聞いたことのない低い声が私のすぐ隣から響いた。

髙「Aちゃんの肩、こんなに濡れてる。」

そんな真剣なトーン、初めて聞いた。

あ…こんなに体が冷えてるのはそのせい？

先輩「…あ、気づかずごめんね？Aさん…」

「あ、いえっ、」

髙「じゃ、早く帰ろっ。Aちゃん、すぐお風呂入らなきゃ！風邪ひいちゃう～」

「あ、先輩ありがとうございました、お疲れ様です。また、明日っ」

先輩「…うん、お疲れ様。」

モモが私の腰に回した腕で、グッと体の向きをマンションの方へ変えられる。

それに付いて行けなくて、ちょっと足元がおぼつかなくなる。

するとまた腰に回す手に力が入って支えてくれる。

そのままマンションへ向かう。

髙「あっ、一緒にお風呂入るっ？」

「なわけないでしょ！！」

モモ絶対今の、先輩に聞こえるように言ったでしょ。

モモの傘の下では、私の肩は一切濡れなかった。