覚えてる。（JW緑） (ページ41)

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Aside

神山さんは今日も泊まれなくて、また地方にお仕事に行くから次に来るのは退院の日。

神山さんがいないときのご飯で改めて気づく。

固形物になったけど、本当はスプーンやフォークを使えば左手でも一人で食べられる。

なのに、私ずっと神山さんに甘えてたなぁ。

彼氏のときの記憶はないのに、神山さんに甘えたり、一緒にいてくれたりするのは心地がいいんだと、

脳みそ以外の私の全身が、私の細胞が覚えてるみたいだった。

……そして退院当日。

神「お待たせー！はい！着替えやすいようにロングのワンピースにしたで！」

そっか、私のものは神山さんのお家にあるんだもんね。

お礼を伝えて、カーテンを閉めてお母さんに手伝ってもらいながら着替えた。

神山さんに連れられて、神山さんの車に乗った。

後部座席に乗せられて、神山さんがシートベルトを閉めてくれる。

神山さんは運転席に座った。

神「ごめんな？後部座席で。

…でもAがワンピース着て車におるから、デートみたいやな。嬉しいわぁ」

デートという言葉に戸惑って、ミラー越しに少し笑顔を見せるくらいしかリアクションできなかった。

神「…そういえば、パジャマ持ってきてあげられへんでごめんな？

Aは俺チョイスの可愛いパジャマ着てるからさ、男の看護師さんに見られんの嫌やってん。笑」

神山さんは照れ臭そうに、こっちを見ずに笑いながら左右を見ていた。

私は出発の直前、

「…実家に向かってもらえますか？」

と伝えた。