第七篇 不如帰 ページ7
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太宰は口元に笑みを浮かべながら云う。
「私の目の中の歓喜が君にも見える事を願うよ。君がほんの少し指を曲げるだけで、私が最も待ち焦がれたものが訪れる。唯一の恐れは、君が狙いを外すことだ」
「だが出来るさ。君は狙撃手だろ?」
「太宰……」
「どの道君は殺される。なら最期に敵幹部を葬ってみせろ」
「やめろ太宰……!」
「頼むよ。私を一緒に連れて行ってくれ。この酸化する世界の夢から覚めさせてくれ」
「太宰!」
ダンッ!
銃声が裏路地に木霊する。
倒れたのは、狙撃手だった。
その額には銃痕が一つ付いている。
『話があるって云われて来てみれば、血生臭い上に真逆私の組織の幹部が敵に殺されようとしてるなんてね。意味分かんないんだけど』
「蘆花……」
倒れた狙撃手の後ろに立っていたのは、銃口から白煙が立ち上る拳銃を構えた徳富だった。
「蘆花、来るの遅すぎ」
『アンタが早すぎなんだよ。こちとら首領に何処に行くのか聞かれて適当な理由考えなきゃいけなかったんだから……其れに、アンタ裏路地なんて教えてくれなかったし』
この子に教えてもらったから善かったけどさ、と云う徳富の指に、青い鳥が一羽止まって「キョ!」と鳴いた。
「相変わらず面白い異能だねぇ。〈ホトトギスを操る異能〉」
『他の鳥にも通用してくれるともう少し有難いとこだけど』
スタスタと太宰と織田に近付いて行く徳富。
『此奴等は何者なの?』
「ミミック」
「ミミック?」
『何それ。聞いた事無いんだけど』
「詳しい事は調査中だ。でも安吾の部屋に狙撃銃を向けていた線から何か解るかも知れないね」
「この金庫を取り戻す為だ」
「金庫?」
織田は手に持っていた金庫を太宰に見せた。
「安吾の部屋にあった。だが鍵が無くて開かない」
「なーんだそんな事。どれどれ〜」
太宰はポケットから針金を取り出すと、先をくねくね曲げ始めた。
其れから「貸して」と云って織田から金庫を受け取り、針金を差し込む。
針金を少し動かすと、カチャリと金庫が開く音がした。
「開いた」
『器用なヤツ〜』
太宰が金庫の蓋を開ける。
「……!!おい、何故だ……」
織田が焦った声を上げた。
其処には、グラオガイストが入っていた。
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時