第十四篇 借り ページ14
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「んっ……」
織田が目を開けると、医務室の寝台の上だった。
「目覚めたかい、織田作。気分は?」
「……向こう五十年の二日酔いを纏めて受け取っている気分だ」
「君の治療は蘆花がしてくれたのだよ」
『一応薬の準備しといて善かった。神経毒は結構痛い』
「嗚呼、感謝している。……太宰に云われた場所で安吾に会った」
「矢張り安吾はあの場所に居たのだね」
「嗚呼。黒ずくめの兵士達と闇に消えた」
『差し当たり''黒の特殊部隊"と云った処ね』
蘆花が云った。
「黒の組織とミミックは別組織なのか?」
『うん、別。唯、黒の特殊部隊の方は当面無視して善いと思う。矢っ張り危険なのはミミック』
太宰が顔を上げる。
「芥川君を始めとする武闘派構成員が対抗してるけど、此方は敵の長が使う異能力さえ判っていないんだ。分が悪い」
「その芥川という男、確かお前の部下だったな。かなり攻撃的な異能力を持っていると聞いたが」
「彼は鞘の無い刀剣だよ。遠からずマフィア最強の異能力者になるだろうが、今は誰かが刃の仕舞い方を教えなくちゃならない」
徳富は只々太宰に認めてもらう為、我武者羅に努力している芥川の姿を思い出して少し唇を噛み締めた。
「今朝五大幹部が招集され、ポートマフィアの全戦力を持って、ミミックを迎撃する事が決定された。つい先刻芥川君を含む私の部下が奇襲を受けて今も美術館で抗争を……」
『織田作?』
織田は、銃を手に取って立ち上がっていた。
「真逆行くのかい?」
「全戦力を持って迎撃するんだろう?」
「人殺しをしない織田作は抗争なんて興味無いと思っていたよ」
「借りの多い人生だからな。部下が苦戦中なら助けが必要だ」
織田はそう云うと、扉から出て行った。
病室に残された太宰と徳富。
太宰がぽつりと呟いた。
「……借りなんて忘れてしまえば善い。相手だって、何を貸したかなんて覚えちゃいないさ」
『………』
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時