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第二篇 乾杯 ページ2

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「今日の仕事はどうでしたか、徳富さん」


『銃創六つ、刺し傷二つ、肋骨骨折一つ、死体処理四回…後は書類整理。首領の助手とはいっても、私は医療専門だから任務の計画とかはアイツ一切教えてくれないの。つまんなーい』




ぶーぶー文句を垂れた後、徳富は坂口をちらりと見た。




『安吾は?取引どうだった?』


「今回の僕の戦利品はこの骨董時計一つだけです。雨に濡れてしまうんじゃないかと肝を冷やしました」




坂口が鞄を開けて中身を見せる。

徳富は其れを覗き込むと、『おぉ〜、古そう』と呟いた。




『太宰は何時も此処にきっちり来るね〜』


「ふふ、今夜此処に来たら、君達に会えるような気がしてね」


「僕達に用事があったのですか?」


「別に無いよ。唯、そうしたら何時もの夜になるかなと思っただけさ、其れだけ」


『嬉しい事云ってくれるじゃないの』




徳富が太宰の頭をコツンと突く。

太宰は「痛っ、」と云って頭を押さえると、徳富を睨んだ。




「蘆花は何時も私の事を子供みたいに扱うよね。私、一応幹部なのだけれど」


『年齢は私の方が上!』


「たかが一個差でしょう。其れに、年齢なら僕と織田作さんの方が上です」




坂口の突っ込みに、徳富はぐぬぬと唸って大人しくなった。其れを見た太宰は少し吹き出し、そしてグラスを掲げた。




「フッ……」


「何に乾杯するんです?」


「何でもいいさ……理由が欲しい訳じゃない」




太宰がそう云うと、織田作もグラスを掲げる。



「……ストレイドッグに」



坂口と徳富も、グラスを持つ。




「「『ストレイドッグに』」」




ルパンの中にグラスの音が響く。




「ねえ安吾。その鞄の中にカメラあった?」


「ええ。仕事用ですが」


「写真撮ろうよ。記念にさ」


「記念?」


「なんの記念だ?」


「フッ……此処に四人が集まった記念」


『いつも四人で飲んでるじゃない』



「……幹部殿の仰せのままに」




坂口は勿体振ってそう云い、カメラを取り出した。




「何故急に写真なんだ?」


「今撮っておかないと──我々がこうやって集まったという事実を残す物が、何も無くなるような気がしたんだよ」


『そんな不吉な事云わないでよ、太宰。私達は一生飲み友だからね』


「……そうだね」



シャッター音と共に三毛猫が鳴く。






其の仲睦まじい写真は、此れから起こる悲劇をより一層引き立てる最悪の思い出となった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 黒の時代 , 死ネタ   
作品ジャンル:アニメ
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こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» 仕方ねぇ続けるべ☆いぇい☆ (2022年12月22日 14時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» 辞めたら………いやなんもしないけどほら。私はさ。プリ小説やってるし?私の思いもこめさんに継いでもらうって決めてたし((((((((殴 (2022年12月22日 14時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» うぅ〜……私も最近占ツクしんどくなってきたし辞めちゃおっかな… (2022年12月21日 3時) (レス) id: 3c5b67e3ca (このIDを非表示/違反報告)
てかみそ - こめこめコメダさん» まじだよ (2022年12月20日 18時) (レス) id: ca294d51e0 (このIDを非表示/違反報告)
こめこめコメダ(プロフ) - てかみそさん» マジかよ…… (2022年12月20日 11時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめこめコメダ | 作成日時:2022年11月5日 19時

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