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あれから数日が経った。
あの件があってから中也は外に出ることを一層厳しくした。
一切の外出を禁ずる事や過剰な束縛はないものの、家を出る時には1度電話をすることが絶対条件になった。
中原「 今日は会議でちと遅くなる。
新しい本と手前が欲しがってた裁縫道具も買ったし、其れでもして好い子で待ってろ。 」
「 はいはい。
子供扱いは良してよね。 」
あれからAは中也に本以外のものを求めるようになった。
それまであまり我儘を云わなかったAの貴重な要望。
中也が叶えない訳が無いのだ。
本はすぐに読んでしまうから、と新しい趣味として裁縫を始めた。
中也が何を作っているのか、と聞けば内緒、としか教えてくれない。
未だベッドルームの引き出し二段目に仕舞われている縫い掛けの物が何か、それはAしか知らないのである。
中原「 ン。 行ってきます。 」
「 行ってらっしゃい。 頑張ってね。 」
何時ものようにキスをして、中也はさっさと車に乗ってしまった。
車の日、と云う事は戦地での任務じゃないんだな、何てAは一息つく。
夫が戦地に赴くのは何時まで経っても不安なものだ。
「 さ、新しい糸も買ってもらったし裁縫の続きを… ってあれ? 」
中也が行ってしまった玄関を名残惜しそうに眺め、さて、と方向転換をしたその目線の先。
リビングの机にはA4程の大きさをした封筒が置かれていた。
さぁ、と昨日の記憶が蘇る。
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「 中也、この封筒何? 」
中原「 ン? あァ、それか。
それ、明日の会議に使うやつだ。 忘れねェようにそこに置いてたんだが… 邪魔だッたか? 」
「 ううん、そうじゃないよ。
お仕事、頑張ってね。 」
中原「 おう、さんきゅ。 」
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もしやこの封筒、昨日の夕時に中也が忘れないようにと云っていたものでは??
Aは恐る恐るその封筒を手に取った。
そこには達筆な文字で今日の日付と夫の名前が書かれている。
「 絶対これじゃん… 」
忘れないようにしてたのに、何でピンポントに忘れるんだか。
… Aは溜息混じりにそう思った。
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まりな - 面白かったです!これからも頑張ってください! (2018年1月27日 11時) (レス) id: 432d65a945 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸水素なとりうむ(プロフ) - 凄く続きが気になります!!更新ファイトです! (2017年12月24日 2時) (レス) id: aeb5ce3320 (このIDを非表示/違反報告)
毛糸 - 第一次反抗期戦争の方からきました!! とても面白かったです!!これからも更新頑張ってください!( ´∀`) (2017年12月9日 19時) (レス) id: 1ec397df0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カスミ | 作成日時:2017年12月7日 19時