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「 な、中原サァン? 」
頭を強く床に打ち付けられたAは空いた手で其処を撫でながら胸に埋まる中也に問いかける。
此奴は態となのか、丁度判る所で規則正しい息をするもんだからAにとっちゃ早くどいてくれないと生命の危機だった。
_____ 死因は恥ずか死ぬかぁ。
いっそのこと、と振り切ってぽんぽんと彼の背中を撫でてやれば中也はおずおずと小さな声で話し始めた。
中原「 手前が家に居なかッた時、俺の心臓は止まるかと思ッた。 」
「 うっ… 」
中原「 街探してたら手前があの青鯖と同じ傘に入ってて、どうしようもねェ位ドス黒い感情が出てきた。 」
「 …うん。 」
中原「 此奴も俺から離れて行くのか、ッて柄にもなく不安になッちまッてよォ… 」
そう云うと抱きしめる力を強くして、Aの胸から顔を上げた。
Aは止まっていた呼吸を再開し、真っ赤になった顔を俯いて隠す。
でもそんなのが中也に効くはずなくて、あっさり顔を上げさせられた。
彼の優しい手がAの頬を撫でる。
恐る恐る彼の顔を覗けば、怒りも悲しみも範疇外。
__ とても優しく笑っていた。
「 ちゅ、や… 」
中原「 悪い。 太宰に嫉妬してた。
手前は俺だけのものだ。
俺だけの、大切な妻だからな。 」
Aは そんなの今更でしょ、何て軽く笑って返そうと思っていたのに、その口はぱくぱくと開閉を繰り返すだけ。
顔は林檎みたいに真っ赤になって。
____ あァ、幸せだな。
なんて。 再確認させられたのだ。
「 中原A。
中也だけのお嫁さん。
中原中也。
私だけの、自慢の旦那さん。 」
中原「 はっ、可愛いこと云ッてくれるじゃねェか。
次太宰と二人で会ってたら__ 判るよなァ? 」
__ 私に酷いことなんて、出来ないくせに。
「 またスーパーでばったり会っちゃうかもね。 」
中原「 あ? ッくそ手前…!! 」
少し意地悪を彼に云って、 Aは楽しそうに床に落ちた食材を拾う。
その顔は、未だ林檎のように赤いのだった。
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まりな - 面白かったです!これからも頑張ってください! (2018年1月27日 11時) (レス) id: 432d65a945 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸水素なとりうむ(プロフ) - 凄く続きが気になります!!更新ファイトです! (2017年12月24日 2時) (レス) id: aeb5ce3320 (このIDを非表示/違反報告)
毛糸 - 第一次反抗期戦争の方からきました!! とても面白かったです!!これからも更新頑張ってください!( ´∀`) (2017年12月9日 19時) (レス) id: 1ec397df0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カスミ | 作成日時:2017年12月7日 19時