第十五桂 ： 中立刀剣 ページ18
―――中立な立場。
それがどういう意味かはよくわからないが、
小狐丸いわく、まともに話を聞けるかもしれない相手がいるのなら、
それは、早く会って話をしておきたかった。
「間の抜けたような、飄々とした刀剣です。
今は遠征に出ておりますが・・・
しかしあの者であれば、
恐らく彼らのような殺伐とした雰囲気にはなりますまい」
――彼ら、が、先の一期一振らのことであることはわかった。
「・・そう、わかった。助かるよ。
どんな刀剣でもいい、どうにかしてまともな視点からの意見が聞きたい」
「では、その者が戻ったら、審神者さまの部屋へお通しいたしましょう。
・・その、この小狐めも同行してよろしいでしょうか・・」
申し訳なさそうに眉をよせながら、
甘えるような声だった。
――彼も、この本丸では、まだまだ不安が多いのだろう。
「・・ああ、もちろん。
そうだな、いっそのこといつでも俺の部屋に来るといい。
小狐丸とその刀剣だけなら、歓迎ついでに茶菓子くらいは出すよ」
「！！」
ぴょこん、と、いっそ獣耳にさえ見える、
両脇の髪がはねたように見えた。
小狐丸は実に嬉しげに、ありがとうございます、と笑った。
左文字も、それに対しては何も言わない。
それはつまり、許可をくれたということなのだろう。
「これでこの小狐はもう、寂しくはありませぬ！」
どこまでも素直なこの狐が、愛おしく思えた。
＊
小狐丸の話からしばらく。
端末に刻まれた時間を思い返すと、一時間ほどだろうか。
部屋の障子枠が軽くたたかれる。
「審神者さま、件の者をつれてまいりました！」
声にはどことなく高揚が抑えきれていない。
左文字へ、軽く口先だけで微笑むと、
彼は呆れたような溜息をこぼした。
「いいよ、はいって」
はい、という小狐丸の明るい声が跳ね返る。
同時にぱっと障子がひらき、
喜ばしい表情を隠しもしない小狐丸が姿を見せた。
「審神者さま！
この者が、先にお話した刀剣、
にっかり青江にございまする！」
引っ張り出された男は困惑げにどうしたんだい？と問うている。
変わった名前の刀剣だ、とは思ったが、表情にはださず、
ありがとう、と小狐丸に告げる。
「・・あぁ、もしかして君が、小狐くんのいってた、
新しく研修に来た子かい・・？」
「はい、政府直属の研修生審神者です。
青江さん、あなたのお話を聞きたいんです」
二振りを部屋に招き入れ、左文字が、周囲を確認して障子をしめた。
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遊藍 - うろちょろしていたら二桁台にランクインしていたことに気が付きました・・！いつもお世話になっております。みなさま、本当にありがとうございます！ (2015年12月7日 7時) (
レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 闇夜さん» 待ち遠しく、だなんて・・！ありがとうございます。ご満足頂けるような作品に少しでも近づけるよう努力しますね！ありがとうございます！ (2015年11月21日 5時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - いつもこの作品の更新を待ちどうしく思っています！これからも頑張ってください！ (2015年11月21日 1時) (レス) id: 728ca8e5ec (このIDを非表示/違反報告)
遊藍 - 蒼さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます。これからも皆様に気に入っていただけますよう、最善を尽くします。こんな遊藍めの作品ですが、よろしければこれからも、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます！ (2015年10月29日 0時) (レス) id: 1efa798365 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 文章がとても読みやすいうえに、その場の雰囲気や表情も想像できるような作風にすごく惹き込まれました！三日月のラスボス感と主人公の立ち回りを楽しみにしています。 (2015年10月28日 9時) (レス) id: 93399226f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊藍 | 作成日時：2015年9月25日 22時
