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「ふふふ、似合ってるわ」
嬉々揚々とした声で私を人形のように着飾る母。多分兄からだろうけど永瀬さんと夏祭りを回るということを聞き心底嬉しがっていた。優太から貰った可愛い簪も付けないとね、という声とともに頭に冷たい感触が走る。兄とはあの書斎の一件からずっと話していない、喋っていなかった頃にあっという間に戻った。
「優太、外で待ってるわよ」
背中を押され慣れない下駄の音が響くとともに兄がこちらを振り向いて一瞬目を開き、すぐさま細めて微笑んだ顔をこちらに向けてきた。
「浴衣なんだ、似合ってる」
『うん、優太が良ければゆっくり歩きたい』
「いいよ、崩れちゃったら嫌だもんな」
まるで何事もなかったように私たちは歩き始めた。会話は特にない、だけど私たちにはきっと言葉なんていらないのだと思っていた。慣れない下駄に戸惑って少しよろけたら兄はすぐ体を支えてくれた。ありがとう、と兄の方へ顔を向けて言ったら思った以上に距離が近かった。しばらくその距離のまま沈黙が続きごめん、とまるであの時のように言い、どこか遠くを見つめた顔で悲しそうに笑った顔が瞳に映し出された。
『じゃあ、ね』
「ああ、廉によろしく」
待ち合わせをした場所へ向かう私の足取りを兄は引き止めた。
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プラム - 返信ありがとうございます。ヨモギさんの作品好きです。これからも楽しみにしています！ (2019年8月29日 0時) (
レス) id: bd64163aa1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ(プロフ) - プラムさん» プラムさん、コメント有難うございます。私も岸くんは普段考えてないように見えるけれど実は誰よりもグループのことを考えて行動している気がします。お気に入りのシーンを好きと言って下さって嬉しいです、有難うございます！ (2019年8月28日 9時) (レス) id: f404b9d437 (このIDを非表示/違反報告)
プラム - 岸くんは太陽みたいな人だけど、月の様な部分もあって。メンバーの誰よりも現実的に物事を捉えているように感じます。お話の中でリアルな岸くんを感じてドキドキしました。車の中でのシーン、私も大好きです。何とも言えない感情が沸き上がってきて、胸が熱くなりました (2019年8月27日 18時) (レス) id: bd64163aa1 (このIDを非表示/違反報告)
海里(プロフ) - ヨモギさん» いえいえ！返信ありがとうございます！！ (2019年7月22日 17時) (レス) id: 5be75b73df (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ(プロフ) - 海里さん» 海里さんありがとうございます、そう言って下さって嬉しいです！ (2019年7月20日 14時) (レス) id: f404b9d437 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモギ | 作成日時：2019年7月17日 11時
