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第36話「乾坤一擲」 ページ38

階段は登るよりも降りる時の方が力を使うのをご存知だろうか?

降りる時に自身の膝に体重が掛かりかなり体力を奪われる。

それが、急な階段であれば尚更だ。


此処の階段は地味に急だ。

なので、降り続けているとかなり疲れる。

私も運動なんてご無沙汰だったのでいくらパルクールをやっていたと言っても、体力の消費は半端じゃない。

静かな階段に私の荒い息と、靴の音が響いている。

そろそろ廊下へと出られる扉があると思う…

そう思った矢先に前方に扉を見つけた。

私は迷わずその扉を開く。

すると、予想通り私の目の前には廊下が広がっていた。

よし。まずは廊下に出る事が出来た。

次は、此処が何階の何処かを把握しなければならない。

腕時計を見れば、既に3分を過ぎ5分も経過していた。

30分まで後、25分。

私は、時間を確認し走るのを再開する。

暫く走っていると見慣れた部屋を見つけた。

どうやら此処は、4階だと思われる。

取り敢えずはエレベーター…否、やめておこう。

もしも、エレベーターから降りる際中也と鉢合わせになったとしたら、最悪だ。

私はもう一度階段へと向かおうとした…がピタリと足を止める。

貴方「……裏を読むとしたら?」

私の、今の考えを中也が予測していたら?

階段で待ち伏せしているだろう。

しかし、その裏を読めばエレベーターは駄目になる。

どちらにせよ、賭けのようなものだった。

貴方「……乾坤一擲(けんこんいってき)、か。」

座右の銘がふいに口から出ていた。

私は、そのまま走り出した。

そして、エレベーターへと乗る。

どちらかで迷ったなら、いっそのことどちらも取り入れてしまえばいいのだ。

私は5階に着くと同時非常階段へと向かう。

そう。

私が考えたのは、一旦エレベーターで5階へと向かい、そこから非常階段を使うというものだった。

エレベーターだろうが、階段だろうが、リスクが両方同じくらい高いのであれば。

視点を変えてみる。

別に、どちらか一つを選ばなければいけないとは言われてはない。

なら、両方だ。

これで、リスクは少しは減るだろう。

私は、首領のように合理的思考は苦手だ。

かといって、太宰のように相手の心理を悟りつつ、話術などで切り抜ける事も得意ではない。

これも、そうだ。

二つとも得意でないのであれば、自分の出来る範囲で二つを組み合わせてやればいいのだ。

気が付けば、8階まで上がっていた。









──────30分まで後、20分。

第37話「悔しさと敬意を」→←第35話「頭脳を駆使して」



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- 首領のルビ、ボスのはずなんですが...なんだか違和感があるんですよね「しゅ、首領」みたいなセリフの時内容はとても面白くてワクワクしながら読んでいます! (2018年7月2日 22時) (レス) id: 338b13862d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - 原作しか見てないのでアニメではどうなってるのかわからないのですが、首領の読み方はそのままでなくボスだと思います!更新楽しみにしてます頑張ってください^^*(同コメありましたらすみません) (2017年9月30日 0時) (レス) id: cfd67c96bc (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_桜(プロフ) - 森さん(^q^)うぇへへ……なのですが、設定ページで三人称の意味合いが違うと……ヾ(・д・`;)heとかsheとかジャ (2017年8月18日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - きなこさん» 初コメントありがとうございます。この作品で森さん好きが増えたのであればこの上ない喜びですね。企画も賛成して下さり…感謝です。暖かい言葉嬉しかったです。これからも、不甲斐ない作者ではありますが、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - 晋陽さん» 森さんの色気は上手く描写出来ていますかね…?それならばとても嬉しいのですが…コメントありがとうございます。これからも、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルリ@現実逃避 | 作成日時:2017年2月1日 21時

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