第22話「覚醒と困惑」 ページ24
その瞬間だった。
彼女が苦しみ始めたのは。
「な、に…!?ぐっ…」
頭を抱え込んで、うずくまる。
貴方「何です?演技ですか?」
ああ、本当、虫酸が走る───。
もっと苦しめばいいのに。
私がそう願えば、彼女は甲高い悲鳴をあげた。
「ひぃ、貴方、私に、何をっ…!!」
貴方「何もしていませんよ。」
消えてしまえばいいのに。
私を支えてくれた、あの人を。
信じてくれた、あの人を。
あろうことか、侮辱するなんて。
────許さない。
「ひいっ、ああああああ…!!」
ふつふつと怒りが込み上げてくる。
私が強く願えば願うほど彼女も苦しむ。
私は瞬時に理解した。
『これは私の異能力だ』と。
ただ、操れない。
使い方が分からない。
だけど、止める事すら出来ない。
私も、能力の使い過ぎなのか意識が朦朧としてきた。
そんな時だ。
太「───‘人間失格’
Aちゃん、何故異能を……」
そう、颯爽と現れた太宰が私に触れた。
膝から崩れ落ちる私の身体を難なく支えた太宰。
その表情は驚愕の色に染まっていた。
貴方「ごめ、なさ……」
私は謝罪の旨を発すると同時に、暗闇の中へと意識を引き込んでいった。
太宰side
貴方「ごめ、なさ……」
Aはそう言い終わると同時に意識を手放した。
驚いた。
女性の悲鳴が聞こえたものだから、駆け付けると、前々からAを良く思って居なかった女性がうめき声をあげ、うずくまっていた。
私はこの女性がAに嫌がらせをしていることを知っていた。
だが、Aはそれをものともしなかった。
それをこの女性は、良く思わなかったのかもしれない。
その女性の前には、明らかにいつもと雰囲気の違うA。
きっと、この女性がとうとうAを怒らせる原因を作り上げたのだろう。
そのせいで、Aは異能力が目覚めてしまったのか…?
私は部下を呼び、Aを医務室へと運ぶように指示を出す。
そして、ゆっくりとその女性に近づき……
太「君も馬鹿な人だね、Aに手を出すなんて……」
そう言えば、彼女は青ざめた。
「ですがっ、彼女もっ、異能力をっ…!!それで私を殺そうと…!!」
太「それがどうしたのだい?彼女が異能力者なんて私しか知らない。後は君が黙っておけば…それと、この事は首領に報告させてもらうよ。…まあ、殺されなければ運が良いんじゃない?」
そう吐き捨てると彼女は震え出す。
きっと、これから彼女を見る事はないだろう。
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舞 - 首領のルビ、ボスのはずなんですが...なんだか違和感があるんですよね「しゅ、首領」みたいなセリフの時内容はとても面白くてワクワクしながら読んでいます! (2018年7月2日 22時) (レス) id: 338b13862d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - 原作しか見てないのでアニメではどうなってるのかわからないのですが、首領の読み方はそのままでなくボスだと思います!更新楽しみにしてます頑張ってください^^*(同コメありましたらすみません) (2017年9月30日 0時) (レス) id: cfd67c96bc (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_桜(プロフ) - 森さん(^q^)うぇへへ……なのですが、設定ページで三人称の意味合いが違うと……ヾ(・д・`;)heとかsheとかジャ (2017年8月18日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - きなこさん» 初コメントありがとうございます。この作品で森さん好きが増えたのであればこの上ない喜びですね。企画も賛成して下さり…感謝です。暖かい言葉嬉しかったです。これからも、不甲斐ない作者ではありますが、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - 晋陽さん» 森さんの色気は上手く描写出来ていますかね…?それならばとても嬉しいのですが…コメントありがとうございます。これからも、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルリ@現実逃避 | 作成日時:2017年2月1日 21時