第10話「好奇心」 ページ12
森side
初めは、ほんの少しの好奇心だったのを覚えている。
その日は、至って平凡で日常的な日だった。
突然、エレベーター前に現れた女性に出会うまでは。
本当に、驚いた。
初めはスパイかと疑った。
しかし、監視カメラには女性がどのようにしてエレベーター前に現れたかは映っていなかったのだ。
そして、もう一つ思ったのが異能力者という可能性だ。
これまでに、テレポーテションのような類の異能力は目にしてきた。
しかし、これも違った。
というのも、テレポーテションの能力であれば、部下達に追い掛けられる時にわざわざ走って逃走はしない。
能力を使って違う所へと行くだろう。
初めて女性と対面した時、彼女は私の事を、『森さん』と言った。
加えて、
やっと、つまり私を前から知っているという事。
ちなみに、私は女性の顔には見覚えもなかった。
完全な、初対面だった。
その女性は、此処が異質という事に気付いていた。
にも関わらず、私に、しかも、初対面で抱き着いた。
その時の、嬉しそうな顔は今でも覚えている。
そして、そんな大胆な事を成し遂げたのに、我に返ったように赤面する始末。
『同性同名』と、私に謝罪したが、私と同性同名の人物はこの世には居ない。
彼女は一体、どの『森鴎外』と知り合いなのか。
興味が湧いた。
このまま、彼女を殺すのは惜しいと。
私は、彼女に一度だけ戦いに行かせた事があるが、矢張、予想通りに戦闘慣れしておらず、そういった任務には不向きだった。
戦力外通告をしたのも、死なせたくないからというのもあったかもしれない。
そうして、最下級構成員の中でも、情報などを扱う部署につかせた。
そこで彼女は予想を裏切った。
彼女の情報処理能力は、素晴らしい物だった。
徐々に頭角を現し、遂には上司顔負けの部下となっていた。
私は益々彼女に興味が湧いた。
彼女は、ごく普通の大学を卒業しただけであり、このような情報処理能力が長けているなどという情報はなかったからだ。
私は、彼女に人事異動をしてもらった。
彼女を、私の側に置きたい。
私は、彼女に惹かれていた。
それは、好奇心なのか、はたまた、そういった感情なのか。
彼女には、聞きたい事が山ほどある。
『会いたい』とふと呟いたが、その友人は誰なのか。
彼女は何者なのか。
何故、私を知っていたのか。
─────彼女が起きたら話してもらうが、本当の事とは何か。
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舞 - 首領のルビ、ボスのはずなんですが...なんだか違和感があるんですよね「しゅ、首領」みたいなセリフの時内容はとても面白くてワクワクしながら読んでいます! (2018年7月2日 22時) (レス) id: 338b13862d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - 原作しか見てないのでアニメではどうなってるのかわからないのですが、首領の読み方はそのままでなくボスだと思います!更新楽しみにしてます頑張ってください^^*(同コメありましたらすみません) (2017年9月30日 0時) (レス) id: cfd67c96bc (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_桜(プロフ) - 森さん(^q^)うぇへへ……なのですが、設定ページで三人称の意味合いが違うと……ヾ(・д・`;)heとかsheとかジャ (2017年8月18日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - きなこさん» 初コメントありがとうございます。この作品で森さん好きが増えたのであればこの上ない喜びですね。企画も賛成して下さり…感謝です。暖かい言葉嬉しかったです。これからも、不甲斐ない作者ではありますが、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@現実逃避(プロフ) - 晋陽さん» 森さんの色気は上手く描写出来ていますかね…?それならばとても嬉しいのですが…コメントありがとうございます。これからも、よろしくお願いしますね*_ _)ペコリ (2017年6月22日 23時) (レス) id: a2afccea58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルリ@現実逃避 | 作成日時:2017年2月1日 21時