検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:35,946 hit

想出話【高校時代】 ページ22

目の前でココアを飲む閨島幸暖。
こいつは非常に扱いづらい人間である。

女だからとか言う理由ではなく、とにかく掴み所が無いのだ。
感情が顔に出づらい訳でもないのに、何故掴み所が無いのか?その答えは何年も経った今でも出されていない。

双子の兄貴のシッマは幸暖に扱われる側なので参考にならないし
我等が総統や書記長に話を聞いても参考になりはしなかった。

幸暖とは高校からの仲だ。
どこか儚くてミステリアスな雰囲気だった幸暖。
顔も成績も良かった幸暖は、入学してすぐ注目されてた。
そんな幸暖と同じクラスで、斜め後ろの席俺は座っていた。

喋りがたい雰囲気なのに、クラスの陽キャ女子が話し掛けに行ったら案外ノリが良かったり
流されているようで自立している、それが幸暖の第一印象だった。

幸暖と初めて話したのは…部活やったか?
確か怪我して保健室に行く途中にばったり会ったんやっけな。



* * *



「ってぇな…」


うっかり足首を挫いてしまった…うちの部活はマネージャーも居ないため
テーピングが必要な場合保健室に行くか自分でやるかだ。

ただ…歩くのも辛いくらい痛い!

なんやねんあのクソ監督!テーピングくらいできろよ!
おっさんにやれても嬉しくねぇけど!

…階段登らなアカンのか…。


「…おい、大丈夫か?」

「は?なん…閨島?」

「ああ、緑川やったか。通りで見覚えがあると思ったわ」


…部活中やったんかな。


「…足挫いたんか、見してみ」


そう言われ素直に床に座る。
すると閨島は俺の足を持ち上げた。


「随分派手にやったな…めっちゃ腫れとるで?テーピングより先に冷やさな」


そう言うと俺の横を通り階段を駆け上っていく。
暫く待っていると、氷嚢とその他諸々を持ってきた閨島が来た。
若干息が上がっとるから走ってきたんやろな。
その他諸々の中には閨島のエナメルと鞄があり、帰る気満々な様子。

閨島はまた俺の足を持ち上げて、アンダーラップを巻き始めた。
巻き終わるとタオルと氷嚢を渡してきた。


「一旦これで冷やしとき、歩けるみたいやから軽そうやけど分かんないから」

「あ…有難う…」


なんと言うか、手慣れとるな…。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
91人がお気に入り
設定タグ:wrwrd
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

櫻夢(プロフ) - 紫さん» 勿体なきお言葉…!有難うございます!拙い文ですがこれからも精進させて頂きます! (2020年4月29日 0時) (レス) id: c6ce1548f4 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きも頑張ってください(*>∇<)ノこの小説大好きです!!! (2020年4月28日 11時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:櫻夢 | 作成日時:2020年1月12日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。