想出話【高校時代】 ページ22
目の前でココアを飲む閨島幸暖。
こいつは非常に扱いづらい人間である。
女だからとか言う理由ではなく、とにかく掴み所が無いのだ。
感情が顔に出づらい訳でもないのに、何故掴み所が無いのか?その答えは何年も経った今でも出されていない。
双子の兄貴のシッマは幸暖に扱われる側なので参考にならないし
我等が総統や書記長に話を聞いても参考になりはしなかった。
幸暖とは高校からの仲だ。
どこか儚くてミステリアスな雰囲気だった幸暖。
顔も成績も良かった幸暖は、入学してすぐ注目されてた。
そんな幸暖と同じクラスで、斜め後ろの席俺は座っていた。
喋りがたい雰囲気なのに、クラスの陽キャ女子が話し掛けに行ったら案外ノリが良かったり
流されているようで自立している、それが幸暖の第一印象だった。
幸暖と初めて話したのは…部活やったか?
確か怪我して保健室に行く途中にばったり会ったんやっけな。
* * *
「ってぇな…」
うっかり足首を挫いてしまった…うちの部活はマネージャーも居ないため
テーピングが必要な場合保健室に行くか自分でやるかだ。
ただ…歩くのも辛いくらい痛い!
なんやねんあのクソ監督!テーピングくらいできろよ!
おっさんにやれても嬉しくねぇけど!
…階段登らなアカンのか…。
「…おい、大丈夫か?」
「は?なん…閨島?」
「ああ、緑川やったか。通りで見覚えがあると思ったわ」
…部活中やったんかな。
「…足挫いたんか、見してみ」
そう言われ素直に床に座る。
すると閨島は俺の足を持ち上げた。
「随分派手にやったな…めっちゃ腫れとるで?テーピングより先に冷やさな」
そう言うと俺の横を通り階段を駆け上っていく。
暫く待っていると、氷嚢とその他諸々を持ってきた閨島が来た。
若干息が上がっとるから走ってきたんやろな。
その他諸々の中には閨島のエナメルと鞄があり、帰る気満々な様子。
閨島はまた俺の足を持ち上げて、アンダーラップを巻き始めた。
巻き終わるとタオルと氷嚢を渡してきた。
「一旦これで冷やしとき、歩けるみたいやから軽そうやけど分かんないから」
「あ…有難う…」
なんと言うか、手慣れとるな…。
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櫻夢(プロフ) - 紫さん» 勿体なきお言葉…!有難うございます!拙い文ですがこれからも精進させて頂きます! (2020年4月29日 0時) (レス) id: c6ce1548f4 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - 続きも頑張ってください(*>∇<)ノこの小説大好きです!!! (2020年4月28日 11時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻夢 | 作成日時:2020年1月12日 12時