あと9日�� ページ29
「好き、と言いますと」
「だから、その」
私もウジンも、なんだかたどたどしい喋り方になっていた。
彼はとても緊張して見えるし、私も彼の言った意味がわからなくて言葉に詰まる。
やがてウジンは小さく息を吐いて、それからこう言った。
「恋愛感情的な意味で、好きなのか？…ジフンのこと」
秋風が私たちの間を通り抜けて、ウジンの前髪がふわっと揺れた。まっすぐな彼の瞳が、確かに私をとらえている。
「…どうして？」
「気になって。最近、なんか仲がいいみたいだから」
そんなこと、一度も考えたことがなかった。確かに私の中でのジフンの印象は、ここ最近めまぐるしく変わり続けている。彼との心の距離が確実に近づいていることもなんとなく感じていた。
でも、彼のことが好きだとか、彼と付き合いたいだとか、そういう感情は今ここでウジンに言われるまで、本当に意識したことはなかった。
――私が、ジフンのことを…？いやいや、ありえないよね。
「ないって。どうして私がジフンを」
思いのほか大きな声が出た。
「…そう」
ウジンは静かに頷いて、歩き始めた。私もすぐに彼に合わせて足を動かす。
私が答えるまでの時間はほんの数秒間だったと思うけど、頭の中では全く整理がついていない状態だった。
「まあ、そうだよな。お前、昔から今までそういう色恋沙汰みたいなの一切なかったしな」
「うん」
「興味ないもんな、そういうの」
「うん」
「うん、ってそればっかりだな」
「うん」
「…おい」
「…うわっ、なに！？」
急にウジンが私の前に立ちふさがって、私の両肩を掴んだ。
それがあまりにも唐突で小さな悲鳴をあげてしまったけど、彼は気にする様子がない。
人見知りだったり照れ屋だったりする彼はよく相手から目をそらすのに、今はじっと私の目を見つめていた。
なんだかハーブのいい香りがする。もしかして、彼のシャンプーの匂いだったりして。
「ウジン…近くない？」
「俺と話してるのに、生返事ばっかりすんなよ」
「あ…ごめん、考えこんじゃって…」
「なあ、A」
「な、なに」
「もし、万が一お前が恋愛とかに興味持つんだったらさ」
ウジンの指に力が入るのが分かった。
「俺にしとけよ」
「…え？」
「…何でもない。今のは忘れて」
「えっ、ちょっと待って、ウジン！」
ウジンの両手が私から離れ、彼は駆け足で去って行ってしまった。
追いかけることもできなくて、小さくなっていく彼の背中をただただ見つめていた。
ハーブの香りはもうしなかった。
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加賀島京(プロフ) - ナギさん» コメントありがとうございます。あたたかいお言葉とても嬉しいです；；前回の更新から時間が経ってしまって申し訳ないです……。楽しみにしていただいているのにすみません！必ず完結はさせますので、これからも読んでいただければ嬉しいです。 (2019年5月9日 3時) (
レス) id: 8ab02f0b4e (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 久しぶりの投稿ですね！嬉しいです。ゆっくりでも全然構わないので完結まで持ってきていただけると嬉しいです……無理ない程度に頑張ってください！ (2019年3月31日 23時) (レス) id: b8f2817426 (このIDを非表示/違反報告)
ARMY - 明けましておめでとうございます！ワナワンも解散で、ほんとに悲しいTTワナワンのことも、忘れないし、加賀島京さんの、作品も、忘れません！今年も、更新楽しみにしてます！ (2019年1月3日 21時) (レス) id: ea329e26cd (このIDを非表示/違反報告)
加賀島京(プロフ) - ARMYさん» わかります、なんでもこなしてしまうデフィが本当に本当に好きで…(;_;) …ああ、そんなことを言っていただけるなんて…本当に嬉しいです…ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年1月1日 23時) (レス) id: 7b34f080ca (このIDを非表示/違反報告)
加賀島京(プロフ) - 空さん» ありがとうございます…！空さんの作品を読んでいると、私もヒョンソプを動かしたい…！と思って、つい登場させてしまいました(^^;面白いと言っていただけて本当に嬉しいです。あと、ゆらぎの中でセウンが登場したことに興奮してしまいました、、ありがとうございます、 (2019年1月1日 23時) (レス) id: 7b34f080ca (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年11月23日 0時
