大人になったらお嫁にしてね (ページ4)

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3.困惑なうページ4

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男にスマホを返すとベッドに蹲る。
どうしよう、と酷い混乱で頭がショートしかけた。

なんで？

お父さんやお母さんは？

ここが何処かも分からないため、学校は休まねばならないと電話したが「そんな生徒はうちにいません」と言われてしまった。

自分や家族の存在がこの世から無くなっている？

いや、でも私は今ここにいる。

どうすればいいのか分からない。

それに、この家だって。

知らないうちとはいえ、気付いたら見知らぬ男の家に上がり込んでいて、挙句に相手を不審者扱いしてしまった。

どちらかといえば不審者は私だ。

「大丈夫？」

男はAの顔を見つめると心配そうに声をかける。
優しい人なんだな、と思った。

こんな身も知らずの女、追い出してもいいくらいなのに。

「…私、どうしたらいいんでしょうか」

つい、本音がポロリと出てしまった。

ハッとすると手で口を塞ぐ。

相手からしたら、そんな事言われても、って感じなはず。自分はなんて迷惑な女なのだろう。

「んー……」

ほら。戸惑っちゃってるよ。
そりゃそうだよ。

「とりあえず、俺の家居たら？」

「え？」

男の方を見ると、にこっと柔らかい笑みを浮かべこちらを見ていた。

その表情がとにかく温かくて、優しくて。

私は気が付いたら

「えっ、どうして泣いてるの」

涙を流していた。

やはり、精神的に参っていたのだ。
そりゃそうだろう。家族がいないこの世界で、何を頼って生きていけばいいのかも分からなかったのだ。

それを、優しく引き入れたこの男が____この人が、神様のように見えたのだった。

「いえ、その…う、嬉しくて」

必死に涙を拭うと背中を撫でられる。

「大丈夫だよ。追い出すようなことはしないから」

ははっ、と笑いながら言うと目を擦るAの腕を掴み、零れる涙を指で掬う。

真っ直ぐな瞳で見つめられると、同時に胸元が変な感じがした。