少年忍者短編 2 (ページ6)

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『なんかさ、公園着くまで月見ないようにしたくない？』

学校の昇降口から出てすぐ、稲葉くんはそう言った

「確かに、せーので見る瞬間までとっておこう」

でもそう意識すると途端に空が気になって仕方ない

『今めっちゃ空見たいって思ってるでしょー？』

「え笑なんか急に気になって」

『分かるけど頑張って我慢しよう！』

二人してうつむき加減に歩く姿のおかしさに堪えきれず、お互い変に笑いながら歩く羽目になった

馴染みのない住宅街に入ってしばらくすると、公園が見えた

「もしかしてあそこ？」

『そう！街灯が一個しか無いしLEDじゃないから空が見えやすいの。Aちゃんに普段送ってる写真は大体あの公園で撮ってる』

確かに公園に着いてみると程よく暗い

『じゃあせーので見よっか』

「うん、せーの」

二人して空を見上げると、大きくてまるい満月が光っていた

『わ〜大きいね〜』

「うん、最近見た中で一番綺麗かも」

なんとなく黙って満月を見上げる

『首痛くなってこない？』

「うん笑なってきた」

『あっちコンクリートだから、寝転んで見ようよ』

稲葉くんの素敵な提案に乗って、少し冷たい地面の上にごろんと寝転んだ

「わー！！めっちゃ見える！プラネタリウムだ！！やばい！」

『でしょ〜？』

隣を見れば満足げな表情の稲葉くん

『この間やってみたらめちゃくちゃ綺麗で感動して、これはAちゃんにも見てもらわないとと思って』

「そっか、それすごい嬉しい。見せてくれてありがとう」

そう言うと稲葉くんは照れたようにどういたしまして、とおどけて言った

「そういえば、今日は写真撮らないの？」

『確かに、忘れてた。撮って家族に送ろう』

稲葉くんはスマホを取り出して空に向かってシャッターを切ると、家族に送ろー、と呟いた

「家族ともよく送り合うの？」

『うん、こういう景色の写真は家族とAちゃんにいつも送ってる』

「え、じゃあ私ほぼ家族じゃん笑」

なんだか変な言い回しになっちゃった気がしたけど今にも降ってきそうな星に囲まれているからかあまり気にならない

『Aちゃんは、僕と付き合いたいって思ったことあるの？』

あまりに唐突な質問に思わず稲葉くんの方を向いた

「え？急に？」

『いや、さっき聞かれたから笑』

少し考えてみた

「うーん、なんていうか、付き合いたいと思ったことは無いかな」