少年忍者短編 2 (ページ4)

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稲葉通陽：ニコイチページ4

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塾が終わり空を見上げてみると、人工の光であふれる駅前からでもはっきり見えるくらいに三日月が輝いていた

思わず口角を上げてカメラフォルダにその月を収め、そのまま稲葉くんとのトーク画面を開いた

「わ、」

ついさっき撮った写真を送ろうとした矢先、稲葉くんから真っ暗な空にぽつんと月が浮かぶ写真が送られてきた

私が撮ったのよりももっと上手くて綺麗

＿＿今日の月すっごく綺麗だよ〜

絵文字付きのかわいらしい文体で追加のメッセージが送られてきて、既読をつけてしまっている勢いで自分も撮った写真を送った

＿＿私も今送ろうとしてたところだった！笑綺麗な三日月だね

そう送るとびっくりした顔の初期スタンプが送られてきて思わず笑う

稲葉くんとのトークを遡るとこんな調子で月や綺麗な空や景色の写真で埋め尽くされていて、どちらかが旅行に行ったときの特別な絶景なんかも送り合っている

いつからか綺麗な景色や空を見た日は、稲葉くんに共有したいと思うようになっていた

出席番号が近かった私達は同じ班で、連絡先を交換したのは一緒にした化学の実験のレポートがお互いに終わらず助け合うためだった

仲良くなって程なくした頃、稲葉くんからまんまるな月の写真が送られてきた

＿＿今日満月でめっちゃ綺麗に撮れたからAちゃんにも共有したくなって

初めて送られてきた写真に戸惑ったけど、確かにその写真は月の中のうさぎが見えるくらいに綺麗で、自分にこんな綺麗な風景を送りたいと思ってくれる人が居るのが嬉しかった

『Aちゃんおはよう、昨日天気良かったからか月も星もめっちゃ綺麗に見えたよね』

「おはよう稲葉くん。私は駅前で見たから星はあんまり見えなかったな〜」

『それは残念だねえ。でも今月の満月の日は晴れ予報だよ！』

「もうチェックしたの？笑」

『いつもは特に確認しないよ笑。でも今月はAちゃんと一緒に見たくて』

「ん？私と？」

『そう。いっつも写真送り合ってるけど、同じ時間に同じ場所でそういう景色を見たことは無いじゃない？だから一緒に見に行くのはどうかなって』

「確かに、それめっちゃいい案だよ！」

『ほんとに？じゃあ今月末は一緒に月観測しにいこう』

そんな調子で約束が決まった

よく考えてみたら稲葉くんと学校以外で会ったことは無い

より仲良くなれた気がしてその日の授業はすべて機嫌よく過ごした