元木湧:恋愛マスター ページ1
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改札を出てすぐ見えた姿に駆け寄る
『お、おつかれA』
「迎えに来てありがとね」
そう言うと湧は微笑んで私の頭を撫でた
『今日髪巻いてんじゃん、かわいいね』
二重パッチリで大きな目をキラキラにしていかにも本心ですって表情で言ってくれる
「好きな人に褒められるのが一番嬉しい!てか湧ってほんとに私のこと好きだね〜?」
『うるせえ調子乗んな笑行くぞー』
湧は私を小突くと空いている手を恋人繋ぎにして歩き出した
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付き合いは長くないものの親友同然の関係だった湧が私に告白してきたのはつい先月の話
『Aさあ、俺と付き合わない?』
いたずらっぽいけど優しくて、おまけにイケメンな湧に密かに、本当に密かに想いを寄せていた私はその願ってもない一言に心から驚いた
こんなに調子よく事が進んで良いんだろうか、と疑いつつ了承し、私たちは付き合い始めた
付き合い始めてから湧はことあるごとに私にかわいいと伝えてくる
付き合う前はむしろ
『お前そんな食うの?太るよ?』
『今の顔めっちゃ事故ってたんだけど』
と、暴言も甚だしい言葉をお得意のニヤニヤ顔で発していたから調子が狂う
最初は冷やかしでかわいいと言ってくると思っていたけど、さっきと同様湧が心から思っているような声色で言ってくるものだから毎回照れて慣れない
友達の延長線のような、でもぜんぜん違う関係
「湧がこんなに甘い彼氏になるとはね」
『ん?なんか言った?』
「んーん、別に〜」

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作者名:ぶたきぬち | 作成日時:2024年12月21日 13時