【H×H】みんなのいろんな姿がもっと見てみたい！！【短編集】 (ページ11)

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あれから数週間がすぎた。
イルミさんに手当をしてもらった傷はもう痛みはなく、跡が少しだけ残ってしまったが命には代えられない。

それでもまた、私は得体の知れない誰かからの攻撃により、傷を負っていた。
前回に比べ、傷は浅く、依頼はこなすことが出来た。
だけど、いつも来てくれるイルミさんが今回は来なかったのが少し、寂しかった。

『いつも来てくれるわけじゃない…自分で手当を…？？イルミさん…と、誰？』

たまたま見かけたイルミさんは初めて見る男性と話していた。
赤髪にオールバックでヒールを履いた男性。
昔、イルミさんが教えてくれた様に気配を消して話に耳を傾ける。
盗み聞きなんてタチが悪いけど、好奇心には勝てない。

『それにしてもイルミってばあんなにあの子が好きみたいだね…♡』

『ヒソカに言われると腹が立つけど否定は出来ないよ、事実だし。』

『それにしても…あそこまでやる必要あったのかい？』

『必要があるかないかって聞かれたら俺個人としてはやる意味しかない。
無条件で頼られるんだ。
この上なく幸せだよ。』

『ボクが言えたことじゃないけど…イルミも相当歪んでるよね♢』

けたけたと楽しそうに笑うヒソカと呼ばれた男性との会話で、私はやっと今までの犯人がわかった。
それはイルミさんだ。
いつもタイミングよく私の前に現れて来るのはイルミさんが犯人だったから。

その真実は信用しがたくて、でもそれが答えなのだから仕方なくて、イルミさんの狂気に体が震えた。

『なんだ、意外と傷が浅かったんだ。』

気配消していた私の目の前に立つイルミさんはいつもとなんら変わりはなくて、それがまた逆に怖くもあった。
何も言えず、恐怖で震える私へと手が伸び、視界が暗転すると意識が薄れる。

『これからはずっと一緒だから。』

そんな甘くも絶望的な言葉が耳元で囁かれた気がした。