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カツン、カツン、カツン……

地下に作られた洞窟のような廊下では足音がよく響く。床の上で眠っていたオビトは足音を聞いて目を覚ました。恐らくサクラだろう。
「おはようございます、オビトさん」
「……ああ」

毎日変わらぬ挨拶をしてからサクラは風呂敷を広げ、朝食の準備をする。
サクラがオビトの監視人になってからー週間が経とうとしていた。監○禁され自由を許されないオビトにとって、いつの間にかこの時間は唯一の楽しみとなっていた。
「……前から思ってたが、なぜお前は俺が食べているとき笑ってる」
「え…?だって…」
ふふっとサクラはさらに笑った。
「オビトさん、すごく美味しそうに食べてるから。ただの白米とお味噌汁なのに」

初めは要らないと言っていたのに、ガツガツ食べている自分が妙に恥ずかしくなってきた。味噌汁の茶碗は空。白米も残りは2割程度だった。

「……うまそうに食うのは悪いか」
「いえ全然。その方が作り甲斐あるわ」
「……」

コイツと一緒にいると、どうも調子が狂うな。
オビトは頭を掻いた。

「今日は漬物もあるんだな」
「春野家特製千枚漬けです。最近、母から作り方を習ったんです」
オビトは残り僅かの千枚漬けと白米を一緒に口に入れた。小気味良いポリポリと噛む音が室内に響いた。
「……ご馳走様」
「お粗末様でした」
オビトは茶碗の上に箸を静かに置いた。


誰かに食事を作ってもらう。そんな相手が出来るなんてこれっぽっちも想像していなかった。そんな事を考えながらオビトは茶碗を手早く片付けるサクラを目で追っていた。

「オビトさん」
風呂敷に目を落としたまま、サクラはオビトに声をかけた。
「なんだ」
「朝ごはんをちゃんと食べるのも、いいものでしょう?」
「………ああ。案外な」
「最近オビトさん顔色いい気がしますもん」
「お前は…その目の隈をなんとかした方がいい。人の心配をする前に自分の心配をしろ」
「あ、隈バレてた…?」
化粧で隠したつもりだったんだけどなぁ、とサクラは目の下に触れた。
「最近睡眠不足で……」
「仕事も程々にしろよ」
「気をつけます」
今まで色々あったけれど、この人は根はいい人なんだろうな……。
オビトの優しさにサクラは頬を緩ませた。

自分の言葉が急に恥ずかしくなったのか、オビトはサクラに背を向け、言葉を付け加えた。
「お前が倒れたら飯が食えなくなるからな。別にお前の心配はしてない」

はいはい、とサクラが笑う。
ああ、コイツといるとどうも調子が狂う。

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設定タグ:NARUTO , うちはオビト , 春野サクラ   
作品ジャンル:アニメ
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時

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