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四時間目までの授業を先生の話は聞かず右から左へ適当に聞き流す。
窓側の俺の席からはグラウンドの様子が見えて、そこでは体育のサッカーの授業が行われていた。
ジャージのラインの色が赤だから俺と同じ二年のクラスだ。
ぼーっと外を眺めていると一人の男子に目を奪われた。
「 あの夜の... 」
男子にしては細く華奢な体型で、中性的な顔立ち。
それは俺が一人で星を見に行った時に出会った彼。
あの夜に見た彼の姿を忘れることが出来ずにいた俺はここで彼を見つめて、胸の奥がざわつかずにはいられなかった。
前の席で突っ伏して寝ている大ちゃんの椅子を思いっきり下から蹴り上げ大ちゃんを起こす。
寝惚けながら振り返った大ちゃんの口元にはヨダレの跡が残っていてクスッと笑ってしまう。
「 なんだよぉ、やまだー 」
「 他のクラスの“ イノオケイ ”って男子知ってる？」
俺がそう問いかけた瞬間、寝惚けていたはずの大ちゃんの顔色が変わった。
えっ、イノオくんて何か悪い事で有名なの？
「 なんっ...！なんでお前伊野ちゃんのことっ、」
“ 伊野ちゃん ”
確かに大ちゃんはそう呼んだ。
あだ名で呼ぶってことは仲が良いってことか？
でも大ちゃんの友達なら俺だって知ってるはず。
「 おい有岡！！前向け！」
授業を続けていた先生が後ろを向いている大ちゃんに気付きこっちに怒鳴ってくる。
大ちゃんはすぐに前に向き直り、ごめんなさーいと緩い謝罪をして再び机に突っ伏してしまった。
ちっ、せっかく“イノオケイ”のことが分かると思ったのに。
あのクソ教師め、
心の中でそう悪態をつきながらも窓の外へ視線を向ければ“ 伊野ちゃん ”はゴールを決めたばかりのサラサラと風に靡く茶髪で長身の男に抱き着いているところだった。
その様子にモヤモヤとした何かが心の中に生まれる。
気付けば四時間目の授業の終わりを告げるチャイムが学校全体に鳴り響いていた。
それを合図に号令がかかり立ち上がって挨拶をし、授業を終えた。
「 やまだ〜、飯食うぞ！屋上行こ！」
もう既に弁当を片手に持った大ちゃんが振り返って俺を屋上に誘う。
普段は屋上なんて立ち入り禁止のはずなのに何故か大ちゃんは屋上へと繋がる扉の鍵を持っているから俺たちは屋上へと出ることが出来る。
まあ、教室で食べたら女子に囲まれて大変な事になって食えねえから有難いけど。
「 おし、行くか 」
俺も弁当を持ち、教室を出た
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作者名：かすたーどばにら | 作成日時：2018年8月22日 17時
