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「あー!俺もその歌知ってる!
まんまAだよね」

「ちょっと。
隆二までやめてくれない?」




遠慮のない言葉と屈託のない笑顔で笑う男は
同じく同期の今市隆二。

もともと登坂とは学生時代からの知り合いらしく、
入社して登坂と仲良くなると同時に
必然的につるむようになったのは隆二だった。


今日の花金飲み会は野暮用でいけないけど
カラオケから参加するわってことで

登坂がしつこくも2回目の片想いソングに入ったところで、隆二は、やってきた。



「俺もこれ初めて聞いたときAじゃんって思った」

「だよな」

「…ねぇ、二人とも。
せつない片想いしてる女子に対してひどくない?」

「え、お前、女子だっけ」

「登坂。ケンカなら買うけど」

「まあまあ。でもこれいい曲だよ?」



意地悪でSな登坂と違って
のほほんとして温和な隆二。

大体私と登坂の口喧嘩をゆるく仲裁するのは隆二だ。

見た目はそこそこイカツイのに
人は見掛けによらない。


「いい曲かも、だけどさ!」

「俺も共感するかな。あ、片想いじゃなくてだけど」

「…隆二。あんたもケンカ売ってる?」

「“男と女の間に純粋な友情など多分存在しない“って歌詞!わかるな〜」

「そこ!?」



いまいち話噛み合ってない気がするし。
隆二、絶対天然だと思う。




「俺もこの曲入れよ。臣、一緒に歌お」

「いいけど」

「二人とも、もう歌わんでいい!」





こっちの意見などお構い無しでハモり始めるふたり。
やたら上手いのがやっぱりむかつく。。




二人が歌った片想いの歌は

確かに私の健二郎さんへの想いそのもので


一度目よりニ度目
ニ度目より三度目がより深く心に響いた



叶わない恋に泣く夜もあったけど
真剣に病むほど見込みがある恋でもない


それでも恋には違いないから。



そんな進展しない恋の悦に入っていた私は
隆二の言った

男女の間に存在しない友情というフレーズを
特に気にすることもなかった。




後になって思い返せば
この時
何より私のすぐそばにあったのは

叶わない恋ではなく

男女の友情が成立しないという
私たちの関係を覆すような概念で



それが私たちの関係性を
大きく動かすことになるなんて

このときはまだ何もわかっていなかったんだ。

4→←2−登坂



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じゅん(プロフ) - お久しぶりです。更新ありがとうございます! (2021年7月11日 16時) (レス) id: c029804656 (このIDを非表示/違反報告)
ちはる(プロフ) - もう、お話の続き見れないですか?(*´ω`*)わたし、NEEさんの小説も東京も大好きです(*´∀`) (2020年5月13日 10時) (レス) id: 48e30b0c83 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさんだー ( ̄□ ̄;)!!!・・好きです(///∇///) (2019年8月25日 0時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - NEEさん、お帰りなさい!!またツクールに来るのが楽しみになりました★ (2019年8月24日 20時) (レス) id: 1e1bf63da6 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - いいですっ!こんな同僚2人私も欲しいです((笑))。しかも私が好きな臣ちゃん。そしてカタオモイには健ちゃん…たまりません!これからも楽しみにしています! (2019年8月19日 20時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2019年8月18日 1時

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