Eternal LOVE

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後悔するぞと脅した割には
さすがの常務も無茶をすることはなく



一旦は落ち着いた日常が戻ってきた。







変わったことといえば



毎週の夜の予定が綺麗さっぱりなくなって
自分の時間が出来たこと。


少しだけ残業が増えたこと。







直人さんとの関係は変わらず

今までどおり仲はいい。




仮彼氏とは言っても
常務に見せかけているだけのものだし
個人的には何も変わらない。






ただ、ひとつ。




まだ解決出来ていないことがある。













「こんばんは、Aさん。
うまく抜け出せた？」




スリーピースのスーツを着こなして目の前で微笑むこの男は
相変わらずの屈託ない笑顔の奥で
鋭い目を光らせる。






━常務との不倫を黙っている代わりに
"俺のモノ"になって━






そんな提案をしたこの男に
私は何故か真実を話せずにいる。






「今日は部の飲み会だって臣が言ってたから。

こんなときに呼び出してごめんね？」



「…悪いなんて思ってないくせに」

「あはは、そんなことないよ？」







嘉山とは終わったと言えば終わる関係。



言えばいいのに。




その為にも早く嘉山とは終わらせるべきだと
そう思っていたはずなのに。






こうして今市の呼び出しに
わざわざ飲み会を抜け出して応じて


私は自分でもどうかしていると思う。







「…何の用？」

「ただ、会いたかっただけだよ？
……座って」





前にも一度訪れたbarのカウンター。



ハイチェアーに腰掛けると
バーテンがメニューを見せてくれる。






「…ダイキリ」

「かしこまりました」





会いたかったからなんて
そんな理由なわけないのに。


一人で暇だから呼んだとか、そんなとこだろうけれど。





あの初めての夜をカウントしなければ

本当にこれまで一度も
私の記憶の中ではキスさえしてこない今市。





目的も何もかもがわからない。






だけどそれは私も同じ。






今市に何も求めてはいないはずなのに



こうして私は
今市に呼ばれるがままに会いに来てしまう。





このよくわからない感覚の正体を

私は知らない。
知りたくもない。





流れに乗せられたままに
私はこの先の見えない関係の続きを進んでいく。







誰にも、秘密のままで。

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