Eternal LOVE

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"今日定時で上がって。
…詳しく話、聞くから"



もうまもなく始業時間。

直人さんは私にそう言うと
自分の部署へと戻っていった。





……気持ちを落ち着けなきゃ。


泣いた顔では仕事場へ行けない。



溢れた涙を拭いきり
顔を軽く叩いた。










「おはようございます」

「おはよう」




いつも通り挨拶を交わし

そしてそれは隣の登坂とも。




「先輩、書類、総務から回ってきてました」

「…ありがとう」





良かった。

普通だ。




あの合コンのことは
酔った勢いだと、そう思うことにする。







「先輩、何か、目腫れてません？」

「…そ、そう？」



「俺でよかったら相談乗りますけど」






登坂の目が
真剣に私をとらえる。


あのときと同じだ。




不意に気まずくなり、私は目をそらした。




「気持ちだけ、もらっとく」

「先ぱ…」

「外回り、行ってきます」








…ごめん、登坂。


そんな簡単に相談できるほどのことなら
私はこんなにわかりやすく仕事場に持ち込んだりはしない。



絶対に言えない。




だけど

直人さんには説明しなければならない。

多分あの人は、大体のことは察しているだろうから。























「お待たせしました！」

「あぁ、お疲れ！店どこでもいい？」

「はい」

「じゃあこっち」




業務後。

定時を少し過ぎて終わった私は
エントランスで待っていた直人さんと落ち合った。


お店がおまかせなのはいつもどおり。

グルメな直人さんはこの辺りのお店に詳しい。







連れられてきたのは
お洒落なスペインバルで

高い天井と広いフロアと
それから落ち着いた照明が

少し込み入った話をするのにぴったりだった。





「何のむ？」

「生でいいです」

「ん、じゃあ生二つと…」




適当に料理を頼んで
まもなく席に届いた一杯目で、お疲れの乾杯をすると
ジョッキを置いた直人さんが
私の方を見た。





「じゃ、本題、先がいい？後がいい？」


にこっと直人さんが笑い、私に問いかける。


「話せるタイミングでいいよ」




さすが

気遣いの出来るこの先輩は
私が話しづらいということもよくわかってる。



「…先、済ませます。
このままじゃごはん美味しく食べられないから」



「お。男らしいじゃん？…じゃ、聞くよ」






あぁ、緊張する。




自発的な不倫のカミングアウトなんて
生まれて初めてだ。

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