99 ページ3
「で、まだ返事してないの？」
「うん…」
行きつけのbarにて直人と飲む週の中日。
こんなに恋愛で悩んだのは久しぶりだ。
「やっぱり元カノが気になるの？
Aってそんなタイプだっけ？」
「直人私を何だと思ってる訳？
一応それなりに気にするでしょ普通」
「まーね。平気なふりしてるだけだもんなぁ、お前」
ポーカーフェイスには自信があるけど
直人には隠してもすぐにバレる。
"平気なふり"が今までの元カレたちを甘やかしてきたのだと直人は言う。
「健二郎はいいやつだけど、だからってなにも言わないAの本音を汲み取れるわけじゃないから」
…わかってるよ、そんなこと。
やけ酒のようにワインが進む。
明日仕事だからなんてそんなこと知らない。
「健二郎くんのことは信用してるけど…
あそこまで元カノがガツガツくると何か…
こっちが悪いみたいだし」
どうしてこうも、私の恋愛には試練がつきものなのだろう？
その時。
カラン。
ドアが開く音がして。
「モエ、ボトルで開けて」
突然聞こえてきたのは
あの、声。
心臓がバクバク鳴る。
そうだ、ここ、あの男も行きつけだ。
一気に酔いが覚めて冷静になるのと同時に
顔が熱くなるのは何故だろう？
「どうしたの、A？」
「何も」
また会ってしまうなんて運が悪すぎる。
ただ。
今回は明確に違うことがあって。
「私を酔わせる気？」
「酔った方がイケるんだろ？」
…女連れ。
夜の女だろうか？
派手な化粧にネイル、服というには頼りなさすぎるようなミニドレスを纏う綺麗な女は
その華奢な腕を革ジャンの腕に巻き付けている。
「…すごいな、あれ」
二人を見て、何も知らない直人が呟く。
同じ空間にいるのに
あの二人の
ううん、あの男の周りだけ
世界が違うみたいに見える。
「ん、乾杯」
「乾杯♡」
カウンター席の背中側。
見えはしないのに聞こえるいい声は
別に聞こうとはしていないのに
耳が拾う。
「だめ、そんな一気に飲んだら酔うからぁ」
「酔えよ。…あぁ、こっちがいい？」
「ん……っ」
甘い声が聞こえる。
店内にかかる音楽に相殺されて
隣にいる直人は気付いていないみたいだけど
聞こえる女の蕩けた声と
あの夜を思い出させる男の声が
私を落ち着かなくしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひろみ - 私も臣大好きなので、キュンキュンしながら読みました。どうなるの？とドキドキで、途中でやめる事ができず、夜中までかかって一気に読ませて頂きました。 (2017年4月2日 2時) (
レス) id: e9c7ef6696 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 3~しかないんですかね??間違ってたらごめんなさい (2017年1月8日 15時) (レス) id: 811aaed8b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 毎回毎回キュンキュンしながら見てます！！ (2016年9月19日 0時) (レス) id: 16f1420843 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 続きが気になりすぎます(*^^*)！NEEさんのお話大好きです＼(^^)／NEEさんのペースで大丈夫ですので、無理せず更新お待ちしております(*^^*)！ (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - あとさんと同じく！隆二くんに触れられてるところを見て、臣にいろいろ大切なことに気づいて欲しいです(>_<) (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NEE
| 作成日時：2016年4月14日 22時
