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いきなりフロアから消えた私。
きっと健二郎くん、心配してる。
だけど。
さっきまで舞台で
フロアじゅうの女を魅了した彼が今目の前にいて
そして私に深く口づけて
その時改めて私はこのキスが
あの夜から欲しくてたまらなかったのだと思い知る。
お酒よりも私を酔わせるこの男のキスは
今日も悩ましいくらいにスパイシーで刺激的だ。
「っは……あなた、歌手？」
「まさか。スカウトされたことはあるけど。
どうだった？」
「別に。…と言いたいとこだけど」
瞳を覗き込んでも読めない。
だけど、それには怯まない。
私の負けだからって、まだ勝負は２回戦がある。
「…まあまぁ良かったわよ」
「厳しいな、俺の"名刺"代わりになったかなって思ったんだけど」
なるほど。
私がこの前言ったことを一応覚えていたわけね。
「何？あなたの名刺って名前も書かずに
"キスと夜と歌が巧いです"って書いてあるだけなの？」
「高飛車だな…嫌いじゃねぇけど」
壁際に追い詰められ、備品が並ぶ棚の隙間、私の背中は壁に触れる。
「名前、そんなに知りてぇの？」
「…じゃなきゃ、私、ずっとあなたのこと
"サングラス"としか呼べない」
「へぇ、じゃあこの先もあるってことなんだ？」
だめ。
こいつのペースに巻き込まれちゃだめ。
言わせるのよ、私を手離したくないって。
「どうかな。ワンナイト主義の人に先のことを求める馬鹿はいないと思うけど」
「煽るなー…おねーさん俺のこと嫌い？てか怒ってる？この前のこと」
「……」
「あのあと、あの女とは寝てない」
「えっ…！？」
あぁ、しまった。
思わず嬉しそうな声を出してしまったかも。
「気が変わった。
…おねーさんと遇わなかったら寝てたけど」
あぁまたこの男は
私を言葉巧みに喜ばせようとする。
「というわけで、責任取ってもらえますか？」
言葉の恭しさとは反対に
彼は私を挑発的に見つめた。
「勿論、おねーさんの気持ち次第だけど」
あぁまたそうやって
私に決めさせようとして
この男はずるい。
勝ち方を知ってる。
「…鍵、見つけたんだけど」
「へぇ、良かったな」
「これ、アクセサリーにしては重すぎるの」
「ん、鍵だからな」
もう私の負けでいい。
「今夜、この鍵を使う。
一時間後よ。遅刻したら帰る」
またこの男の挑発に乗るなんて。
「…了解」
最後にキスもせず、男は離れた。
本当に、ずるい。
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ひろみ - 私も臣大好きなので、キュンキュンしながら読みました。どうなるの？とドキドキで、途中でやめる事ができず、夜中までかかって一気に読ませて頂きました。 (2017年4月2日 2時) (
レス) id: e9c7ef6696 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 3~しかないんですかね??間違ってたらごめんなさい (2017年1月8日 15時) (レス) id: 811aaed8b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 毎回毎回キュンキュンしながら見てます！！ (2016年9月19日 0時) (レス) id: 16f1420843 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 続きが気になりすぎます(*^^*)！NEEさんのお話大好きです＼(^^)／NEEさんのペースで大丈夫ですので、無理せず更新お待ちしております(*^^*)！ (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - あとさんと同じく！隆二くんに触れられてるところを見て、臣にいろいろ大切なことに気づいて欲しいです(>_<) (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年4月14日 22時
