mission 49 ページ49
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「俺が言ったばっかで普通なあっ……！」
キスを終えるとすぐに反論した俺に見向きもせず、そこに脱ぎ捨てられた服を着直し始めた。
「人の話を聞け！」
「しー。そんなに叫んだら外に丸聞こえ」
慌てて両手で口を押さえた俺に、デコピンを食らわし廊下に出て行った薮。
おい、いてぇんだよ！
「ちょっ、どこに行く、ん、……だよ」
廊下を出た先にいたのはやはり薮で、さっきとは打って変わり、まだこの時間でも来ている客に挨拶をしているようだった。
「さっき、子供の声がしたようだけど？」
「申し訳ございません。先程の声は叫び声でございます。決して子供の声ではありませんので」
「叫ぶくらいのことを？」
「いえ。初めての方の様でしたので。……っと、ここからはプライバシーにも関わりますから、詳しいことはお話しできかねます。改めて、お詫び申し上げます」
「別に、そこまで言わなくても……」
「お客様のお心遣いに感謝致します。失礼します」
そうか、ここは子供がいると警察に通報される。
お客さんも子供がいるようなら過剰に反応する。
……意外と、いい店なんじゃん。
「……や、ぶ。俺っ」
「だから大きな声出すなって言ったじゃねぇか」
「だってそれはっ……！」
「俺は優しくしてやっただろ」
声を出すことでもない、とでも言いたげだ。
「はぁ……。お前、いい加減服着ろ」
「え？……うわっ！！」
そうだった。そうだった。
こいつが服着て出てったから安心しきってたけど、俺の方が今やべぇじゃん！！←
「ちょっ、見んな見んな！」←
「見ねぇから早くしろ」
「一旦出ろ！」
「……はぁ。畏まりました」
溜息を吐きながら廊下に出て行ったあいつ。
なんだし！しょうがねぇじゃん、俺は思春期だっ！←
「ひぇぇぇ……。俺、なにしてんだ」
柄にもなく弱々しい声が出た。
気を張ってはいたけど、一人になるとその分来るな。
服を着ながらもやもやした頭を整える。
「あああああ！！！もう！！」←
「おい！光！？」
「お前は黙ってろ！あっち行け！」←
頭で考えるのとか苦手だから、もう止める！
俺は思ったままの行動派だ。
よし、寝るか。←
「おい、ここ寒いから入るぞ」
薮の声なんて知らん振りでベッドにぼすん、と寝転がった。
白い天井が少しずつ歪んでいく。
ああもう、まただ。なんなんだよ。俺は女子か。←
「……光」
それに薮はいつも俺を泣かせに来る。
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
