mission 46 ページ46
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心臓の音が煩い。
ごくり、と唾を飲み込むと、それが合図だったかのように首筋にそっと噛みつかれた。
「いっ……！」
ガリッ
鈍い音がした。
傷口がじんじん痛む。
血の熱さがそこに染みて、流れていくのを感じた。
舐められた。
首筋から這ってきた舌が唇をこじ開ける。
怒鳴りつけるような、そんな口づけだった。
「、、ちょっ、待って！」
自由になった両手で薮の身体を押し返す。
首筋の痛みに負け、デニムが下ろされていることにも気づけなかった。
両頬を固定されていたから顔を背けるのも儘ならなかった。
「お願いだから、……ちょっと、、待ってくれよ」
知らぬ間に息切れしていた。
途切れ途切れになった文章に、薮の身体が離れていく。
そのまま俺の隣に横になったそいつ。
そして小さく、「ごめん」と呟いた。
「頭冷やしてくる」
今の今まで、その温もりが邪魔だった筈なのに。
今になってから、離れたくないと我儘を言い出す。
「逃げんな。……ここにいろよ」
起き上がった薮の手首を間一髪のところで捕らえた。
ちょっとだけこっち側に引っ張ると、弱い力だったのに従ってくれた。
シーツが波を打って鎮まる。
「お客様、なにがお望みで？」
「馬鹿にしてんの」
「これ、一応基本」
「……へぇ」
「で？まさか、ここにいてほしいだけ……なんてな？」
「なわけ。……教えろよ。お前のこと」
なんの条件もなくて、ただ俺が得するだけの会話。
そんなのに、薮が乗るだろうか。
「教えてくれるなら、身体で払ってもいい」
ダメ元で紡ぎ出した音。
反応した薮が、俺を向いてニヤりと笑った。
「勘違いするな」
えっ、と顔を向けた瞬間。
首筋に沿って再び舌を当てがった。
「い、……って」
「もっと上向け」
「だからっ、むり、だってっ……！」
顎を持ち上げられ、天井を通り越して反対側の壁と目が合った。
直後、肌が千切れるような感覚に、最早なにも感じなくなった。
「いけんじゃん」
「ちゃんと……話して、くれっ、だろっな？」
「後でな。だから今は、隅から隅まで味わわせろよ」
はっ、と気づいた頃には遅かった。
中途半端に下ろされていたデニムは引き摺り下ろされ、パーカーの裾から手が迫ってくる。
「おい、脱げ」
「はあっ！？」
それなりに抵抗してそれなりに堪えていたつもりだったが、数分後には、身体のどこだって隠せなくなっていた。
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
