mission 36 ページ36
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目が覚めたのは、翌朝、７時のこと。
あれから無理矢理、高木に帰らされて、車で送ってもらってすぐ寝た。
伊野ちゃんは今日の午後まで帰ってこないんだったっけ。
この時間に起きれたの奇跡だな。
「また学校かぁ……」
別に嫌いなわけじゃないんだけどね。
偶に億劫になるっていうかさ。
なんで勉強してんだろ、って、あの街を訪れた後は特に思うんだ。
「大ちゃーん。おはよ」
「俺今日早くない！？褒めて褒めて！」
「よしよし。偉いぞー」
「気持ちが込もってないじゃん！頑張って休日と間違えずに来たのにさぁ」
「それが普通だからな」
「酷いなぁ」
せっかくなんだし早く行こ！
走って行ってしまって、駆けっこのように俺も追いかける。
なんでだろう。この瞬間が、一番楽しいと感じる。
「大ちゃん。ありがとね」
「へ？」
「……なんでもない」
「なにー？もっかい言って！」
「やーだねーだ」
聞こえなかったのが悪いんだよ。
心の中で悪態を吐いて舌をペロッと出してみる。
「あっかんべー」
「光くんもそんなことするんだ笑」
大ちゃんの謎の感心を他所に一人呟く。
「何年来の付き合いだよ、ったく」
俺のそれには全く気づいていないようで、大ちゃんは俺と同じようにあっかんべーをしている。
不覚にも可愛いいと思ってしまった。←
……こんなに元気に話しているくせに、やっぱり昨日のことを思い出すと黙りこくってしまう二人。
「あれから、すぐ帰ったの」
「帰ったよ」
「……本当に？」
「……本当」
これが薮の言う“人を幸せにする嘘”であるなら、俺はこの世界で生きていたくはない。
こんなことで大ちゃんに嘘を吐くなんて、そんなの意味がない。
でもこんなバレバレな嘘であっても大ちゃんは信じようとしてくれるから。
……きっと俺は、ただ彼に頼ってるだけなんだろう。
「伊野ちゃんがいないからって、変な街に繰り出したら俺が密告してやる」
「それだけは止めてっ」
「今週はいよいよ面談だよ。俺には薮ちゃんにだって、伊野ちゃんにだって、伝える機会が山程あるんだから」
そんな脅しどこで学んだのよ大ちゃん。
「……あ！時間！」
「うわぁぁぁああああ！！！遅刻だあああ！！」
結局二人で二度目の遅刻をやらかしましたとさ。
めでたしめでたし。←
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
