跡部にひたすら気に入られてる女子がいるらしい【テ/ニ/ス/の/王/子/様】 (ページ24)

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関東大会が迫ってきた。

俺にいや3年にとっては最後の大会となる。

いつになく気合いが入ったテニス部の空気に思わず口角が上がった。

今年こそは全国で優勝するという目標を掲げ

日々ハードなメニューをこなしてきた。

負けるわけにはいかないのだ。

「今日も気合い十分だね」

目を輝かせながらテニスボールを目で追いかけるAが言う。

「そうか？まあ大会前だしな」

「…あれ、そうだったっけ」

彼女はキョトンとした顔をして俺に問う。

思わず彼女呆れてため息が出る。

なんでこんな鈍臭いやつ好きになっちまったんだか。

「…まさか忘れてたなんて言わねーよなぁ？」

意地悪く口角を上げると彼女は小動物のようにビクリと体を震わせて首を横に振った。

「…この後、時間ねぇか？」

チラリと時計を見れば部活動終了時刻が迫っていた。

本当は真剣なテニスにこんな感情を持ち合わせたくはなかったのだが致し方ない。

これは一種の祈願のようなものだろう。

「あるけど…」

「じゃあ裏庭に来い。話がある」

こそりと小声で言うと彼女は少し真剣な顔つきになって頷く。

頷いたのを確認して彼女に背を向けて指示をする。

このことを言ったら彼女はどんなことを言うのだろうか。

と俺らしくもない期待と不安を抱きながら。