優しい嘘と冷たい言葉 (ページ31)

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…チラリと2人の事を見る
いつからかは詳しくは覚えてはいないが
あの二人の距離は確実に近くなっている

あの二人というのは梨愛と結萌のことだ

…別に人の関係にどうちゃらは言わないが…
なんというか、意外だった

あの二人の関係は結萌が梨愛に一方的に話しかけていて
梨愛のほうは結萌のことを迷惑がってるとそう思っていたから

…だけど、実際には違った
結萌の粘り強さが彼女の心を開かせたのか
今では彼女から結萌に話しかけることが多くなっている

…私も折れなければ良かったのだろうか
あの子達に逆らえば良かったのだろうか

でも、そうしたらあの子達との関係は終わっていただろうな
…でも、一生の友達が出来たかもしれない

楽しげに笑う彼女を見つめながら
そんな後悔にわたしはかられていた

予鈴がなった
皆が席に着きはじめた

しばらくして
担任が教室に入ってきた

「えー、今日はお前らに大切な話がある」

しんと教室が静かになる

「昨日の夕方
小学生の子が公園で友達とお菓子を食べていた時
この学校の制服を着た人に騙されてお菓子を取られたそうだ」

「先生もお前達を疑っている訳では無い
ただ、そんなことをしている人がいれば教えて欲しいんだ
皆わかっている通りこれは完全な犯罪だ
だからお前らはこんなこと…」

「あの、せんせー」

彩夏が席から腰を浮かせる

「どうした？」

「その犯人、この中にいると思うんですけど、というかその子しかいなくないですか？」

教室がざわついた

「…私、見たんですよね
昨日の夕方梨愛さんが女の子と公園で何か話していたのを」

「…え」

梨愛はかなり驚いた表情をしていた