【文スト】白虎の片割れ。【中島敦】

Episode.05 - Izumi's House ページ7

「泉」と書かれた表札の家屋。







此処は僕と妻が住む家。







「ただいま」



「おかえりなさいませ」







笑顔で出迎えてくれる妻の姿。
今日も無事に帰って来れて良かったと、思わせてくれる。







「あら、その抱いていらっしゃるのは…？」







僕が抱えている、Aを見、妻は尋ねる。







「…捨て子だよ。未だこんなに小さいのに…。可哀想だったよ」







「本当に…」







妻は哀しそうな顔をし、少しの間俯いた。
そして顔を上げ、僕に言った。







「…この子、私達で育てましょう」







「…そうだね。僕たちで、この子を幸せにしよう」







僕と妻はAを囲み、微笑み合った。
Aは先程泣き止み、寝息を立てて眠った。







「A、と言うのですね。では…」







「泉 Aだね。

血は繋がっていないけれど、僕達の家族なんだ。
だから、“泉”。泉 Aだよ」







「そうですね…。A、必ずあなたを幸せにします…。」







外を見ると、雨は止み、雲も晴れ、
きらきらと眩い星が光っていた。







.







Izumi's House

=泉家

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