【Dr.X】入院生活も案外悪くない

カルテ６ ページ7

あれからすぐ、あの美人な女性と入れ違いで佐々木さんがやってきた

安静にしてろって僕、言わなかったっけ？と爽やかな笑みをたたえながら首を傾けた佐々木さんは男のくせに可愛かったが、しかしその目は全くと言っていいほど笑ってなくて怖かったすごく怖かった本当にごめんなさい



「ねぇA」

『はい！なんでしょうか！』

いまだあの恐怖が蘇り自然と敬語になってしまう
ただ単に私がヘタレだと言いたいなら言えばいいさ
なんだかもう開き直ってきたAさんである


ところで佐々木さん、あなた患者呼び捨てだしタメ口だしそれでいいのか国立高度医療センター


「…聞いてる？」

『あー確かにここの売店のプリンはおいしいよね』

「聞いてないんだね」

やだ、真顔で見つめないでください
聞いてませんでしたよごめんってば


「大門先生とどんな関係、って聞いたんだけど」

で？結局どうなの？


『はいぃ？』

だいもん？テストでよく見る大問1とかの大問？

『言うならば試験用紙と受験者の関係ですかね』

「うん、聞いた僕が馬鹿だったみたい」

いいや忘れて、なーんて言ってくれちゃう佐々木さん
え、え、そう言われると逆に気になって忘れられない


『えぇー！佐々木さんテルミー！』

「めんどくさい」


一刀両断とはまさにこれ
なに？ダイモンってなに？薬の名前とかかな


「また無駄なこと考えてるでしょ」

『未知の存在ダイモンについて』

「、」

珍しく真面目な顔をして答えると、佐々木さんの口端が引きつった

をい、おまえ失礼にもほどがあるぞこの美青年め

『ねぇーねぇねぇねぇねぇねぇー』

「安静にしてくださいね椎名さん」

『…なんで急に苗字呼びなんだ！！』

「静かにしましょうか椎名さん」

『しかも敬語！なんかさびしいです！！』


「…椎名さん、」


にこり
綺麗に微笑む佐々木さん

あれ、なんだか身に覚えがあるんだが



「黙れ」

『すみませんでした』


彼は可愛い顔でさらりと毒を吐いた
はい、本当にごめんなさい

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