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時は流れ、現代。審神者の肉体は非常に頑丈とされ、どんなに身体の弱い魂と結びついても体を壊すことは勿論のこと、滅多に怪我をすることもなくなると言われている。後述については噂程度で信憑性に欠けるため、現政府は人体実験を行うと発表した。
世間はざわついた。
歴史を守った英雄達をこんな形で利用していいのか、こちら側の魂が弾き飛ばされやしないか、そもそもまだ審神者達は生きているのではなかったか＿＿
議論は尽きなかったが、政府はあっという間に『審神者の肉体に現代人の魂を紐付けする』という内容の法律を制定した。
「モルモットになる代わりに報奨金は一生働かなくても困らないくらい出るらしい」
「でもその実験で死んだ奴もいるとか」
「金をくれるならなんだってやる、なんて言う馬鹿は山ほど居るだろう」
人々は口々にそう言った。
私は所謂モルモットである。
両親の愛情はそこそこあったし、私自身愛されているという自覚もあった。ただ怪我や病気が人一倍多く、死ぬまでに何度医者のお世話にならなければいけないのかと親に呆れられたこともある。
……まぁ、それも含めて彼らは私を愛していてくれたわけだが。
とうとう中学校に上がる前の年、原因不明の熱で私は被験者となることを余儀なくされた。医者の説得もあってか、両親は最終的に娘が実験体になることを承諾した。私の方も熱でうなされていてこんな状態が続くならモルモットの方がましだとぼやいたほどだから、この法律には少し感謝すらしている。
器と魂の紐付けは、双方の相性によっては酷く脆いともされていた。人と人との関係に善し悪しがあるように、器と魂にも似たようなものがある。
ただ、
どちらも身体を動かすのは苦手だし、人の名前を覚えるのも、ずっと一つのことをやり続けようとするのも、なんだか性に合わなかった。
彼女がもし生きていたら私と良好な関係を築くことが可能なくらい、私と彼女は似ていた。
だから、白い少年との邂逅でここまで揺さぶられるなんて思いもしなかったのだ。
……
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作者名：木浪 | 作成日時：2020年4月21日 15時
