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*
「――あ、ヌナ起きた。」
瞼を持ち上げて、朝独特の自己主張激しい日光と格闘していると、唐突に枕が喋った。やけに固い枕だ、とそれに手を伸ばしまさぐる。
「……ッ、ちょ、ヌナ寝ぼけてないで起きてください。」
声と共にびくりと跳ね、私の手を優しく掴んだ。
寝起き悪いって本当なんだと呟き私の目の前で手を振る彼は……
「――あ。サン君、おはよう。
ふあ……ッ、ごめんね体重かけて。」
どうやら寝ているうちに隣の彼に体を預けてしまっていたらしく。枕と思っていたのは彼の肩だった。いや、それは全然と笑ってくれるサン君優しすぎる。
その時足音が聞こえ、顔を上げるとヨサン君とジョンホ君。
私が起きているのを確認すると、夜のことを聞いてきた。
兄の能力内に入れたことと一緒に、誰も見つけられなかったと伝えると、少しだけ残念そうな表情を浮かべる3人。私にも彼らにも何の非もないことに違いないのだが、少しだけ申し訳ないような。
「……そういえば、さっきイェジュニヒョンが戻ってきてたので朝ご飯渡しといたよサナ。」
「あーよかった、ヒョンも本来の彼の時何食ってたかとか全然分かんないから心配してた。」
戻る?朝ご飯?
全く掴めない話の流れに首を捻ると、シャワーを浴びてきたらしい髪の湿ったジョンホ君が私の隣に座って説明してくれた。
どうやら兄の別人格が出てくる時間は朝になるまでが基本だそうで、本来の兄に対しては普通に慕い、ご飯なども一緒に食べていたんだとか。とは言いつつも彼自身がだいぶ不安定な状態で、別人格の時は躊躇なく能力を使おうとするせいで毎日ではなかったようだが。
本来の兄もそれを把握しているので、朝の時間はキッチンに姿を現すらしい。
「……本当に、何から何までありがとう。」
「いや。ヒョンが本来いい人なのは俺達も散々お世話になって知ってるので。あくまで全て、能力の反動によって引き起こされただけですし……」
ヒョンはヒョンですよ、と微笑んだヨサン君に2人が頷く。
それにしても、何でここまで私の兄は崩壊してしまったんだろうか。ダメ元で聞いてみるとすぐ答えが出された。
「ヒョンの『幻覚』の能力が人格分離なんですけど。もう1つの『夢うつつ』の反動は能力の依存なんですよ。……簡単に言うと、能力を不必要に使いたくなるんです。
簡単に言うとそれで悪循環って感じですね。」
兄の卒業後は詳しく知らないが……反動にのまれるほど兄は、勿論他の皆さんも大変だったということか。
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Tie(プロフ) - 初めまして。ateez目的で読み始めましたが、(地球滅亡の方と共に)とても好みの作品で1作目から何周もしています。もう更新されることは無いかもしれませんが、こんなに面白い作品を作ってくださりありがとうございました。楽しく読ませて頂きました。 (2022年9月3日 17時) (レス) id: 031775e238 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - かまみのさん» 初めまして、お褒めの言葉をありがとうございます。更新やレスポンスにお時間が開いてしまいすみません。本編終了後にはもっとじっくり彼らとの小話も書いていきたいですね……!コメントありがとうございました! (2020年10月10日 21時) (レス) id: 2ace97a462 (このIDを非表示/違反報告)
かまみの(プロフ) - めっちゃ面白い!NCT好きだから出てきて嬉しい (2020年9月2日 23時) (レス) id: 30d38f5d7d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - オンマさん» 初めまして、温かいコメントをありがとうございます!最近忙しくて、前のように頻繁に更新できるかは分かりませんが頑張りますね!私もハマっているので同じ趣味の方がいらっしゃって嬉しいです^^ (2020年5月7日 1時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
オンマ(プロフ) - はじめまして。 この話を見つけてイッキ読みしました^^ のめり込んでいます。 面白い。 頑張ってください。 私は、ATEEZにハマっています。 (2020年5月6日 21時) (レス) id: 51e1e6ee34 (このIDを非表示/違反報告)
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